2021-01-01から1年間の記事一覧
Kruta M, Sunshine MJ, Chua BA, et al. Hsf1 promotes hematopoietic stem cell fitness and proteostasis in response to ex vivo culture stress and aging. Cell Stem Cell. 2021 Nov 4;28(11):1950-1965.e6. 造血幹細胞(HSC)は恒常性を維持するために様…
再びCAR-T関連の文献の紹介。 CAR-Tに関しては何度か取り上げてきた。 CAR-T療法の概要は以下の通り。 がん細胞はT細胞などの免疫細胞に攻撃されないように、抗原が細胞外に出ないように(あるいは低発現状態)なっている。 ※通常、体外から侵入してきた病原体…
南江堂から送られてくる"NEJM Contents News"の中から目に付いた記事の紹介。 以前、脳梗塞の血管内治療に関する発表をヨーロッパの学会で行ったので目にとまった。日本語アブストラクトを見ながらコメントしてみる。 脳梗塞に対する血管内治療前のアルテプ…
CAR-Tに関して勉強したことのメモ第3弾。 CAR-T療法の概要は以下の通り。 がん細胞はT細胞などの免疫細胞に攻撃されないように、抗原が細胞外に出ないように(あるいは低発現状態)なっている。 ※通常、体外から侵入してきた病原体などは樹状細胞などの抗原提…
COVID-19ワクチンは接種後6か月後も有効? Thomas SJ, Moreira ED Jr, Kitchin N, et al. Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine through 6 Months. N Engl J Med. 2021 Nov 4;385(19):1761-1773. ワクチンの有害事象は少なく供応範囲…
Li Q, Mao F, Zhou B, et al. p53 Integrates Temporal WDR5 Inputs during Neuroectoderm and Mesoderm Differentiation of Mouse Embryonic Stem Cells. Cell Rep. 2020;30(2):465-480.e6. 多能性幹細胞を培養しているとp53変異が起こるが、このイベントが…
NEJMニュースの中から目に付いた記事を。 Does a Higher Dose of Dexamethasone Improve Clinical Outcomes in Patients with Severe COVID-19? 酸素需要のあるCOVID-19患者に対するデキサメタゾン(DEX)の有効性は既に証明されており、定番治療と化している…
文献紹介。 Araki D, Fu JF, Huntsman H, et al. NOTCH-mediated ex vivo expansion of human hematopoietic stem and progenitor cells by culture under hypoxia.が Stem Cell Reports. 2021 Sep 14;16(9):2336-2350. ※NOTCHに関して NOTCHは過去にも何度…
目に留まった文献の紹介。 OPEN ACCESS RESEARCH ARTICLEIMMUNOLOGY Share on Remodeling of metabolism and inflammation by exercise ameliorates tumor-associated anemia REGULA FURRER HTTPS://ORCID.ORG/0000-0003-1732-1110ANNAÏSE J. JAUCHCHRISTOPH…
COVID-19ワクチン3回目は接種必要? Differential Kinetics of Immune Responses Elicited by Covid-19 Vaccines October 15, 2021DOI: 10.1056/NEJMc2115596 2回目ワクチン接種の7.9-8.8か月後に3回目ワクチンを接種してみる。 この記事によると4つの結論が…
博士論文締め切りが迫っていることもあり更新が滞っておりました。 今日は抄読会で取り上げた論文の紹介です。 Scienceの論文です。 Neutrophils self-limit swarming to contain bacterial growth in vivo 好中球の移動に関する論文。 本文の前に…なぜ細胞…
今日はAbstractだけ。 Rajan V, Collett K, Woodside R, et al. Stress hematopoiesis induces a proliferative advantage in TET2 deficiency. Leukemia. 2021 Sep 30. TET2機能喪失は、多くの血液悪性腫瘍において、そして多くの高齢者において生理的に見…
昨日の記事の続きのような感じ。 teicoplanin.hatenablog.com マウスHSCを同定する最も優れた方法は、移植後造血再構築能の評価である。 しかしそれは煩雑なので、表面マーカーで代用されることが多い。しかし上記記事でも述べている通り限界も多い。 以下の…
表題の通り。 マウスの造血幹細胞の定義(どうやって造血幹細胞を同定するか)は諸説ある。 Table 1 Cell surface phenotypes of various hematopoietic stem and progenitor cell populations. Marker Phenotype Cell Type Reference KLS Hematopoietic stem …
勉強したことのメモ。 YAP1=yes-associated protein 1 転写因子として機能するタンパク質。細胞増殖を活性化、アポトーシスを抑制する効果がある。YAPやYAP65などとも呼ばれる。 YAPとTAZはHippo経路の下流の主要エフェクターであり、Hippo経路が働くとこの2…
fl/flマウスのことを書きました。 teicoplanin.hatenablog.com 今回はfl/flマウスを用いている実際の論文を紹介します。 Lengefeld J, Cheng CW, Maretich P, et al. Cell size is a determinant of stem cell potential during aging. Sci Adv. 2021 Nov 12…
実験にはよくKO=ノックアウトマウスが使用される。 ある特定の遺伝子Aが欠損した状態だと、癌が発症しやすくなるんじゃないか? みたいな実験の時によく使われます。 しかし、この遺伝子Aが個体発生に必要な遺伝子の場合、欠損させるとすぐに死んでしまいま…
コロニー形成アッセイとは まずコロニー形成アッセイにはいくつか種類があります。 軟寒天コロニー形成試験、細胞毒性試験(コロニー形成阻害試験)などなど。 今回取り上げるのは造血幹細胞の増殖能を調べるコロニー形成アッセイです。 メチルセルロース培地…
抄読会で扱った論文の紹介。 とてもユニークな内容。 RESEARCH ARTICLECELL BIOLOGY Share on Cell size is a determinant of stem cell potential during aging JETTE LENGEFELD HTTPS://ORCID.ORG/0000-0001-6021-7613 CHIA-WEI CHENGPEMA MARETICH HTTPS:…
以前、血液脳関門(BBB)に関する記事を書いた。 teicoplanin.hatenablog.com 細菌やウイルスやリンパ球は、後肢の重力刺激がかかる場所である第5腰椎の背側の血管から脳脊髄液内へ侵入するという内容。 今回もBBBに関する文献。 Winkler B, Funke D, Benmimou…
勉強したことのメモ。 主要な表面抗原まとめ。CD分類に関して。 CD1-10 だいたいT細胞表面に発現 CD11-19 だいたい単球、顆粒球、マクロファージなどに発現 ただしCD19はB細胞に発現→CAR-Tの標的として有名 CD20- B細胞を中心に単球・マクロファージなどに発…
抄読会で扱った文献のメモ。COVID-19も老化細胞除去もいずれもタイムリーなテーマで面白かったです。 Camell CD, Yousefzadeh MJ, Zhu Y, et al. Senolytics reduce coronavirus-related mortality in old mice. Science. 2021 Jul 16;373(6552):eabe4832. S…
AGM(aorta-gonad-mesonephros)とは AGM領域 大動脈、生殖巣、中腎が発生する胚領域。中腎とは前腎の後方にできる腎臓であり、発生過程で退化して後腎にとってかわられる。 マウスでは胎生期中期に存在する。 胚性期の造血は2つの段階がある。 ①一次造血:卵…
以下のReviewの内容を少しずつ紹介していくシリーズ。 Review Published: 18 June 2013 Hematopoietic cell differentiation from embryonic and induced pluripotent stem cells Wai Feng Lim, Tomoko Inoue-Yokoo, Keai Sinn Tan, Mei I Lai & Daisuke Sug…
ちょい時代遅れだが2020年1月に、「新分野を拓いたNature 論文10選」というのがNature誌で紹介された。そこで紹介されていた、死ぬほど有名なワトソンとクリックのDNA二重らせんの論文を興味本位で流し読みしてみた。 Published: 25 April 1953 Molecular St…
前編こちら↓ teicoplanin.hatenablog.com 前回はIntroduction的内容だったので、今回は本文を紹介。 今回はCRISPR/Cas9を用いたノックアウトスクリーニング法を用いている。 1細胞あたり1遺伝子がノックアウトされるようなライブラリーをつくり各遺伝子の機…
読んでみた論文のまとめ。UM171に関するものです。 今回はIntroductionメインです。 UM171に関しては以前も取り上げました。 造血幹細胞(HSC)の体外培養に必要な因子の1つであり、HSC自己複製アゴニストとして知られている。 最初の報告は2014年にFares et a…
勉強したことのメモ。 Hsf1について。 熱などのストレス条件下に晒されると、細胞内では、分子シャペロンとして機能する熱ショックタンパク質の発現が促され、タンパク質の折り畳みを制御することで、タンパク質の恒常性を維持しようとする機構が働きます。…
調べたことのメモ。 ウイルス作製に使うフォルスコリンのことが気になったので調べてみた。 フォルスコリン(英: Forskolin)は、インド原産の植物であるコレウス・フォルスコリにより産生されるラブダンジテルペンである。ホルスコリンあるいはコレオノール…
"SCIENCE ADVANCES"に掲載されていた"Brain inflammation triggers macrophage invasion across the blood-brain barrier in Drosophila during pupal stages"に興味を持ち、読んでみようと思ったが、その前に血液脳関門=BBBに関する文献をバックグラウンド…