こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

モーラム(Mor lam)とケーン(Khene)

急にいつもと全然違う記事。 タイの大学とサマーコースで交流する機会があり、調べてみて少し面白かったので記録してみます。 グループ発表があったのですが、メンバーの1人であるタイの学生がIsan地方(タイ北東部)出身であり、その地域の伝統音楽であるMor …

Rotarod test

勉強したことのメモ。 マウスの運動機能を測定する方法の1つ。 www.youtube.com 上記のようにして歯車から落ちるまでの時間を計測し、マウスの運動機能を調べるテスト。

Bitransjenic mouse バイトランスジェニックマウス~その2~

Bitransjenic mouse バイトランスジェニックマウスに関して勉強した記事を書きました。 teicoplanin.hatenablog.com 今回はその続きで、Bi-transgenic mouseを応用した実験について紹介します。 こちらの論文で行われている方法です↓ Grunewald M, Kumar S, …

Bitransjenic mouse バイトランスジェニックマウスとは

勉強したことのメモ。 まずトランスジェニックマウスとは… 外部から特定の遺伝子を人為的に導入した動物。脳科学研究においては、主に以下の目的のために用いられる。 特定の遺伝子の破壊や過剰発現により、その遺伝子の機能を調べる。 特定のニューロンに機…

Tet-on/offシステム

勉強したことのメモ。 Tet-on/offシステム Tet-on/offシステムとは抗生物質テトラサイクリン誘導体であるドキシサイクリンを投与することで細胞あるいは動物個体において可逆的に目的遺伝子の発現を調節できる実験系である。このシステムは大腸菌テトラサイ…

VEGF=血管内皮細胞増殖因子とは

調べたことのメモ。 VEGF=Vascular endothelial growth factor; 血管内皮細胞増殖因子 新しく血管を作ることに関与しているタンパク質。「血管を作る」には2種類あり。 血管がないところに新たに血管を作る=脈管形成 既存の血管から分枝伸長して血管を作る=…

【文献紹介】COVID-19患者に対する免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬はCOVID-19に有効か?という文献。 現在の免疫チェックポイント阻害薬 出典:AnswersNews 今回はステージⅢ~Ⅳの悪性黒色腫の患者292人を対象として行った。 患者は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を使っている患者も使っていない…

EPCRと造血幹細胞

EPCRについて、勉強したことのメモです。 Endothelial protein C receptor (EPCR) 血管内皮細胞プロテインC受容体 プロテインCは肝臓で作られるタンパク質で、抗凝固作用を有しているが、そのままでは機能しない。 プロテインCは、トロンボモジュリンとトロ…

HSCの自己複製能維持に必要なもの

読んだ文献の紹介と勉強したことのメモ。 Kent DG, Copley MR, Benz C, Wöhrer S, Dykstra BJ, Ma E, Cheyne J, Zhao Y, Bowie MB, Zhao Y, Gasparetto M, Delaney A, Smith C, Marra M, Eaves CJ. Prospective isolation and molecular characterization of…

ウイルス作製後の濃縮は必要なのか?

レンチウイルスベクターの作製方法に関しては以前記事を書きました。 teicoplanin.hatenablog.com で、また最近ウイルスを作る機会があり、ふと思いました。 「作製したウイルスの濃縮っているのだろうか?」 これは単純に濃縮の時間がもったいないというか…

NF1とHSC

先日参加した学会で目にしたテーマをもとに勉強した内容。 NF1とは NF1遺伝子は神経線維腫症1型(NF1)の責任遺伝子。この遺伝子の産物であるNF1タンパク質(=ニューロフィブロミンneurofibromin)が、がん遺伝子産物Rasを不活化することでがんを抑制する効果が…

クローン性造血と炎症

勉強したことのメモ。 Zuriaga MA, Fuster JJ. Emerging Role of Acquired Mutations and Clonal Hematopoiesis in Atherosclerosis - Beyond Conventional Cardiovascular Risk Factors. Circ J. 2021 Aug 25. doi: 10.1253/circj.CJ-21-0505. Epub ahead o…

クローン性造血の悪循環

今回は記事ではなくNature MedicineのNews & Viewsに関して。 Articleでない記事は分かりやすくReviewほどのボリュームもなく知識の整理や確認に個人的にはちょうどよい。 Furer, N., Kaushansky, N. & Shlush, L.I. The vicious and virtuous circles of cl…

HSPについて

いつもHSC=hematopoietic stem cellではなくHSP=highly sensitive personの話。 「私ってHSPなんですか?」「私HSPなんですけど…」とか言われる機会が増えた気がするので調べてみました。 ちなみに上記のような「HSPと診断してほしい」みたいな質問や申し出…

クローン性造血を有するドナーからの造血幹細胞移植で白血病再発リスクが低下

クローン性造血に関してはこれまでも取り上げてきました。 白血病の前がん状態、大腸がんでいうところのポリープのような状態です。 クローン性造血とは? 過去の記事より引用↓ 2014年に異なる3つのグループから、高齢者においては末梢血における遺伝子変異…

【文献紹介】ヒストンH4K16acレベルの変動がHSC不均一性促進に寄与

最近Scienceに掲載された文献のメモ。 RESEARCH ARTICLECELL BIOLOGY Differential H4K16ac levels ensure a balance between quiescence and activation in hematopoietic stem cells View ORCID ProfileCecilia Pessoa Rodrigues1,2,3 and View ORCID Prof…

タンパク質の翻訳後修飾

勉強したことのメモ。 転写・翻訳しただけではタンパク質は完成しない。 その後も様々なプロセスを経てタンパク質は機能するようになる。 出典:タンパク質の翻訳後修飾 (SBO35) (昭和大学) このうち、タンパク質の化学構造を変化させる反応を翻訳後修飾と呼…

DLBCLにおけるエピジェネティクス

読んでみた論文のメモ。 Oricchio E. Epigenetic balance in DLBCL. Blood. 2021 Aug 5;138(5):355-356. doi: 10.1182/blood.2021011647. PMID: 34351369. 本記事が掲載されているのと同じ号で、Hewardらが(ヒストン脱メチル化酵素)であるKDM5の阻害が、ヒス…

TPOと幹細胞

勉強したことのメモ。 TPO=トロンボポエチンは造血幹細胞(HSC)の維持に必要な因子の1つ。 骨髄における巨核球の増加・成熟を促し、血小板数を増加させる。血小板特異的な増殖因子。 TPOをノックアウトしたマウスでは正常マウスの10~15%程度まで血小板が減…

c-kitとSCF

勉強したことのメモ。 Stem cell factor=SCFは造血幹細胞(HSC)培養に必須の因子の1つ。 SCFは受容体c-kit(CD117)のリガンド。 HSCの大部分はc-kit強陽性分画に存在する。 SCFがc-kitを介してHSCの生存・維持に働く。 他のサイトカインとの相乗効果によってHS…

ヒストン修飾が自閉症発症メカニズムに関与

エピジェネティクスの基礎的現象の1つであるヒストン修飾に関する記事を書きました。 teicoplanin.hatenablog.com なので、ヒストン修飾関連の記事を書いてみます。 日本の理研からの論文です。 Balan, S., Iwayama, Y., Ohnishi, T. et al. A loss-of-funct…

ヒストンとヒストン修飾

ヒストンとは 真核生物のクロマチン(染色体)を構成するタンパク質の1つ。 ヒストンは、一般的には、H1、H2A、H2B、H3、H4の5種類が存在します。真核生物の核の中では、DNAは4種類のコアヒストン(H2A、H2B、H3、H4)から成るヒストン8量体に巻き付いて、ヌク…