こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

レナリドミドの皮疹

レナリドミドは多発性骨髄腫の主要な治療薬の1つ。骨髄異形成症候群やマントル細胞リンパ腫で使用される。 レナリドミド(LEN)の代表的有害事象の1つである皮疹(skin rash)について取り上げる。 皮疹はLEN使用者の最大1/3で見られる。(一般的に22~33%) Grade3…

CMLの治療をやめられるとき

慢性骨髄性白血病(CML)患者は以前は生涯TKI内服を継続しなければならなかたが、近年ではTKI治療中止が新たな目標となっている。 ※CML患者の平均余命は一般集団に近づいている。 Bower H, et al. Life Expectancy of Patients With Chronic Myeloid Leukemia …

再発難治性多発性骨髄腫に対するイサツキシマブ

イサツキシマブは、ダラツムマブの次に登場した抗CD38モノクローナル抗体製剤。 造血器悪性腫瘍の腫瘍細胞表面に高頻度に発現するヒトCD38抗原に結合することで、抗悪性腫瘍効果を発揮する。補体依存性細胞傷害(CDC)作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用…

AML治療の新しい鍵:ベネクレクスタを用いた治療について

近年頻繁に使われるようになったベネトクラクスを用いたAML治療に関するいろいろをメモ的に集約します。 ベネトクラクスとは BCL-2阻害薬。腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。 BCL-2は通常は細胞内のミトコンドリアに存在しており、アポトーシス抑制作用が…

予後良好DLBCLの化学療法はR-CHOP4コースでOK

2022年より国内承認されびまん性大細胞性B細胞リンパ腫(DLBCL)の標準治療はR-CHOP療法からPola-R-CHP療法となった。当院でも基本的にDLBCLの方はPola-R-CHP6コース+R2コースで治療している。 しかしLow risk DLBCLの場合は、Pola-R-CHPの方が有意と言うわけ…

DLBCL患者のCNS再発予防

びまん性大細胞性リンパ腫(DLBCL)の中枢神経(CNS)再発は、全生存期間(OS)中央値が6か月未満と致死的な合併症。なので予防が大切。 El-Galaly TC, et al. Treatment strategies, outcomes and prognostic factors in 291 patients with secondary CNS involve…

How I treat CLL patients with ibrutinib

文献紹介。自分用の備忘録的な位置づけです。 BloodのHow I treat CLL patients with ibrutinibまとめです。 Introduction IbrutinibはCLL患者のあらゆるフェーズで有効な薬剤の1つ。 RESONATE試験では、4年間のフォローアップで途中中断患者は12%ほど。多…