前編こちら↓
前回はIntroduction的内容だったので、今回は本文を紹介。
今回はCRISPR/Cas9を用いたノックアウトスクリーニング法を用いている。
1細胞あたり1遺伝子がノックアウトされるようなライブラリーをつくり各遺伝子の機能を調べる方法である。
→これを用いKBTBD4がUM171の強力なサプレッサーとして同定された。
さらなる解析でRCOR1がKBTBD4の下流にあり、UM171処理によって活性化することが分かった。
またLSD1阻害はCD201とCD86の発現を増強する効果があるが、これはRCOR1レベル低下でも同じ効果が得られる。
ヒトHSCをUM171で処理
→RCOR1、LSD1、HDAC2レベルの低下が確認できる
※MG132と同時処理するとRCOR1、LSD1タンパク質の喪失がなくなる。
その後の実験でUM171はKBTBD4を介してCoREST複合体を形成するタンパク質を分解することが分かった。
UM171非存在下でヒトHSCをex vivo培養すると…
- LSD1、RCOR1アップレギュレーション
- H3K4me2、H3K27acレベルが減少(両者は主要な幹細胞エピジェネティックマークのレギュレーター)
※LSD1:H3K4me1/2脱メチル化酵素
HDAC1/2:H3K27ac脱アセチル化酵素
UM171存在下で培養するとやはりSD1、RCOR1はアップレギュレーションされるものの、H3K4me2とH3K27acレベル減少はなくなる。
また、これにはCUL3 KBTBD4 リガーゼが活性化が重要であることも示された。
要約すると以下のようになる。
UM171
→CUL3 KBTBD4 リガーゼが活性化
→CoRESTタンパク質が分解される
→H3K4me2とH3K27acレベルが維持されヒストン脱メチル化・脱アセチル化がおこる
→幹細胞性維持に関する遺伝子がONに
→HSC自己複製を促進