fl/flマウスのことを書きました。
今回はfl/flマウスを用いている実際の論文を紹介します。
Lengefeld J, Cheng CW, Maretich P, et al.
Cell size is a determinant of stem cell potential during aging.
Sci Adv. 2021 Nov 12;7(46):eabk0271.
論文自体の内容は、HSCの細胞サイズが大きくなってしまうことによって細胞機能が低下してしまうのではないか、というもの。
細胞サイズを制御しているのがmTOR経路なんですが、これに関与するTSC1をノックアウトしたマウスが欲しいのですが、TSC1ノックアウトマウスは耐性致死となってしまうため、fl/flマウスが用いられています。
で、ここでは、タモキシフェン投与下に全細胞にCreが発現するRosa-CreER(T)マウスを使用している。これは誘導型Cre組換え酵素(CreERT2)がノック印されているマウスである。これとfl/flマウスを交配してできたマウスにタモキシフェンを投与すると、TSC1ノックアウト状態が再現できる。
ちなみに上記論文では、TSC1ノックアウト状態ではHSCの細胞径が増大し、移植後の再構築能も低下してしまうという結果であった。