Kruta M, Sunshine MJ, Chua BA, et al.
Hsf1 promotes hematopoietic stem cell fitness and proteostasis in response to ex vivo culture stress and aging.
Cell Stem Cell. 2021 Nov 4;28(11):1950-1965.e6.
- 造血幹細胞(HSC)は恒常性を維持するために様々なストレス応答機構がある。
- Hsf1による熱ショック反応もその1つ。
Hsf1の機能は下記参照↓
- Ex vivo培養HSCではタンパク合成が亢進している。
FreshなHSCと18時間Ex vivoで培養したHSCの遺伝子発現を比較
→Ex vivo培養ではタンパク質合成制御が妨げられているよう。
→遺伝子発現ではなく実際のタンパク合成は?
→18時間培養ではin vivoHSCと比較して19.4倍タンパク質合成が亢進
(ピューロマイシン法にて解析)
※定常状態ではHSCはタンパク質合成はとても少ない。
→しかしプロテアソーム活性は18時間培養でも不変。
→Ex vivo培養の方ではプロテオスタシスが乱れている徴候あり。 - Hsf1はEx vivoでのHSC維持を促進する。
※Hsf1は普段は不活性状態でシャペロンと結合している。
→ストレス下では、ミスフォールドタンパク質と結合
→Hsf1が核内に移動できるようになる。
→恒常性維持に関与。
HSCに関してみてみると、Ex vivo培養したHSCではマウスでもヒトでも核内Hsf1蓄積が著しく亢進→たんぱくストレスを処理しているのでは?
Hsf1欠損マウスHSCはControlと比較してキメリズムが低く再構築能が著しく低い。 - 17-AAGとHSF1AはEx vivo培養HSCの骨髄再構築能を促進する。
Hsf1はEx vivoでHSC維持に働く→Hsf1活性を高めればHSC増殖を改善できるのでは?
→そこで、Hsp90やTRiCなど定常状態でHsf1と結合しているシャペロンを阻害する薬剤を投与してみる。(これが17-AAGとHSF1A)
つまりヒートショックプロテインを阻害してみる。
→培養HSCの長期再構築能を促進(2次移植でも再構築能促進) - 17-AAG or HSF1A添加Ex vivo培養HSC→Fresh HSCと機能似ている。
FreshなHSCと同等の骨髄再構築能を示す。 - 17-AAG or HSF1Aが機能するのはHsf1が必要となる。
Hsf1欠損マウスとWTマウスのHSCを17-AAG or HSF1A添加培養の後に移植してみる。
→WTよりも骨髄再構築能が低い。 - 17-AAG or HSF1AはEx vivo培養HSCのプロテオスタシス維持に作用する。
Hsf1欠損マウスとWTマウスのHSCを17-AAG or HSF1A添加培養
→Hsf1欠損マウスでは17-AAG or HSF1Aを添加するとタンパク合成能が高くなる。 - Hsf1欠損は加齢に伴い生体内でのタンパク質合成を増加させHSC機能を低下させている。
プロテオスタシス喪失は老化の特徴の1つであもる。
事実、高齢マウスの方がHSC核内のHsf1が多く発現している。
→Hsf1欠損マウスでは有意に高齢マウスのタンパク質合成が増加。
→Hsf1は加齢HSCのタンパク質合成抑制維持とプロテオスタシス維持に関与しているのでは?
→キメリズムを比較してみると、Hsf1欠損の影響は高齢マウスでより強く出る。
参考:PVAを用いてHSCを培養←BSAを用いて培養した者よりもタンパク合成量は少ない。
=Ex vivoHSC培養促進はタンパク質合成低下と関与しているのではないか?