こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

タンパク質の翻訳後修飾

勉強したことのメモ。

 

転写・翻訳しただけではタンパク質は完成しない。

その後も様々なプロセスを経てタンパク質は機能するようになる。

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出典:タンパク質の翻訳後修飾 (SBO35) (昭和大学)

 このうち、タンパク質の化学構造を変化させる反応を翻訳後修飾と呼ぶ。

翻訳後修飾の例は以下の通り。

Journal of Japanese Biochemical Society 87(3): 286-291 (2015)

出典:特集「タンパク質・酵素の隠された機能について,探索とその技術」
翻訳後修飾による酵素の多機能性を探る―質量分析技術

岡西 広樹,Kwang Kim

上記だけではなく、グリコシル化、リン酸化、アルキル化など300種類以上ある。

中でもリン酸化は代表的な翻訳後修飾の1つである。タンパク質が…

リン酸化:機能On

脱リン酸化:機能Off

という関係になっている。

タンパク質の約1/3がリン酸化されており、リン酸化はタンパク質を構成する次の3つのアミノ酸で起こります。

それは、セリン、トレオニン、チロシンです。

出典:Ayumi Media 「翻訳後修飾をわかりやすく説明!【糖鎖修飾とリン酸化をクローズアップ】」

出典のサイトはとても分かりやすい。

sato-ayumi.com

 

以前紹介したヒストン修飾も翻訳後修飾の1つで、アセチル化やメチル化を通して遺伝子のOn/Offを調節している。

アセチル化:遺伝子発現促進

★アセチル化:ヒストンアセチルトランスフェラーゼ (HATs)

★脱アセチル化:ヒストン脱アセチル化酵素 (HDACs) 

メチル化:遺伝子発現・抑制どちらにも働く

★メチル化:ヒストンメチルトランスフェラーゼ (HMTs)

★脱メチル化:ヒストン脱メチル化酵素 (HDMs)

過去のブログ記事より

ヒストンは多くの翻訳後修飾可能な残基を持っており、特にヒストンテールのセリン、リジン、アルギニン残基などはリン酸化アセチル化メチル化ユビキチン化といった化学修飾を受けることが知られている。

出典:ヒストン - 脳科学辞典

 

また、タンパク質のユビキチン化は分解の合図でもあり、例えば構造異常タンパク質は、ユビキチンによる修飾の後、プロテアソームの作用で分解されるという経過をたどる。

 

過去のブログ記事より

ユビキチンとは何かを簡単に説明しておきます。

タンパク質必要なときに合成され、いらなくなったら分解されるというのを繰り返しています。(アミノ酸からタンパク質は作られ、またアミノ酸に戻ります。)

いらなくなったというサインを出すのがユビキチン化です。いらくなくなったタンパク質にはユビキチンが付加され、それを目印にタンパク質はプロテアソームで分解されます。