クローン性造血に関してはこれまでも取り上げてきました。
白血病の前がん状態、大腸がんでいうところのポリープのような状態です。
クローン性造血とは?
過去の記事より引用↓
- 2014年に異なる3つのグループから、高齢者においては末梢血における遺伝子変異細胞がかつて報告されていたより高頻度で存在しており、これは遺伝子変異HSC(性質が変化したHSC)が骨髄でクローン性に増殖していることを示しているのではないかと発表。
→クローン造血と呼ばれ、近年注目を集めている。- 70代で15%に見られると報告される。
- 血液腫瘍リスクが13倍に増加、それだけではなく心血管疾患や脳卒中も増加する。
- これらのHSCはある特定の遺伝子変異を獲得したHSCが選択的に増殖することによると考えられる。
- 上記のように様々な疾患に関与することから、クローン造血のメカニズムを解明することは、公衆衛生的観点から見て非常に重要である。
上記以外にもクローン性造血を有する患者は、潰瘍性大腸炎発症率が上がったり、心不全発症率が上がったりするという記事も紹介してきました。
つまり、クローン性造血は健康に悪影響だとこれまで感がられてきました。
しかし昨年の米国血液学会でそれと異なる見解が発表されました。
クローン性造血のあるドナーから移植を受けた患者の方が、クローン性造血のないドナーから移植を受けた患者よりも再発リスクが低く生存期間が長いと報告したのです。
これは研究者らも予想していない結果でした。
研究チームは、40歳以上でクローン性造血を有するドナーから移植を受けたレシピエントの臨床転帰を調査した。1727人のドナーのうち、388人でクローン性造血が同定され、最も一般的な変異はDNMT3A変異であった。
→これらの変異は、移植レシピエントの全生存期間の改善と再発リスクの低下に特に関連!
この理由は不明だがドナーT細胞の免疫活性が原因か?と研究チームは考察している。
参考:
https://www.cancerit.jp/67848.html