こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

TPOと幹細胞

勉強したことのメモ。

 

TPO=トロンボポエチンは造血幹細胞(HSC)の維持に必要な因子の1つ。

  • 骨髄における巨核球の増加・成熟を促し、血小板数を増加させる。
    血小板特異的な増殖因子。
  • TPOをノックアウトしたマウスでは正常マウスの10~15%程度まで血小板が減少する。(しかし他系統の血球は減少しない)
  • 抗がん剤などによる骨髄抑制の後にTPOをin vivoで投与すると、血小板数回復はもちろんのこと、貧血や白血球の回復にも有効。
  • TPOの受容体はc-mplである。受容体MPLは造血幹細胞、巨核球前駆細胞から血小板に至る巨核球-血小板系、赤血球前駆細胞に発現している。
  • またTPOの受容体への結合によってJAK2のリン酸化が起こり、JAK2-STAT3/STAT5経路やPI3K-AKT経路の活性化が起こる。

参考:

一般社団法人日本血栓止血学会「トロンボポエチン(TPO)」

松村 到「TPO/c-mplと造血幹細胞」日本内科学会 1999 年 88 巻 12 号 p. 2487-2492