Bitransjenic mouse バイトランスジェニックマウスに関して勉強した記事を書きました。
今回はその続きで、Bi-transgenic mouseを応用した実験について紹介します。
こちらの論文で行われている方法です↓
Grunewald M, Kumar S, Sharife H, et al.
Counteracting age-related VEGF signaling insufficiency promotes healthy aging and extends life span.
Science. 2021 Jul 30;373(6554):eabc8479.
実験では、循環血液中のVEGF量の多いVEGFマウスを、Tet-offシステムを利用しつつBi-trangenic mouseを作るくことで作っています。Tet-off/onシステムについても過去記事で触れました。
この記事でも触れた通り、Tet-on/offシステムには2つのvectorが必要となる。
①Regular vector(ドキソルビシンと結合し目的遺伝子のon/offを制御するタンパク質を発現する)
と
②Response vector(TRE配列をもつ最小プロモーター (minimal promoter)の下流に目的遺伝子をつなげた)
の2つです。
今回の論文で取り上げられているTet-offシステムの場合、Regular vectorの配列が発現してできたタンパク質tTAはドキソルビシン非存在下(ドキソルビシンと結合していない)ときにResponse vectorのTRE配列に結合し、目的遺伝子を発現するというしくみになっている。
上記文献ではこの2つのパートを2種のマウスそれぞれに分けている。
マウス①=Driver line: :C/EBPβプロモーター(VEGF発現を制御、肝臓activatorでもある)で駆動されるtetracycline-regulated transactivator (tTA)タンパク質
マウス②=Responder line: tetracycline-responsive promoter element (TRE) -VEGF-A164 line
Tet-on/offシステムの記事で示したのと同じ配列となっていることが分かる。
上記2種のマウスを掛け合わせると、
- Driverのみ保持したマウス
- Responderのみ保持したマウス
- Driver/Responder両方保持したマウス
の3種類が生まれる。このうち、Driver/Responder両方を保持している3番目のマウスでのみTet-offシステムが有効となり、ドキソルビシンを投与しないときにVEGFが発現するという仕組みとなっている。
また、論文ではDriverのみのマウスとReponderのみのマウスをControlマウスとして用いている。
上記の文献の解説はまた別で行いたいと思います。