調べたことのメモ。
VEGF=Vascular endothelial growth factor; 血管内皮細胞増殖因子
新しく血管を作ることに関与しているタンパク質。「血管を作る」には2種類あり。
血管がないところに新たに血管を作る=脈管形成
既存の血管から分枝伸長して血管を作る=血管形成
増殖因子であると同時に強い血管老化性亢進作用もあり。
以下のものが"VEGFファミリー"に含まれる。
VEGF-A VEGF-B VEGF-C VEGF-D VEGF-E
PlGF(胎盤増殖因子 placental growth factor)-1 PlGF-2
VEGFというとVEGF-Aのことを指す時もある。
VEGFはなぜ重要? →様々な生理作用に関与しているから
特にがんの成長に血管新生が関与していることから様々な方面から研究されている。
がんにはもともと血管は備わっていないが、がん細胞自身がVFGFを分泌することによって血管を腫瘍までひっぱってくる。
→これによって腫瘍細胞が成長する。
- 腫瘍細胞はVEGF受容体を発現し、オートクリンおよびパラクリンVEGFシグナルに反応する。
- 腫瘍細胞細胞におけるVEGFシグナル伝達を媒介するNRPやVEGFRTKを標的とする治療アプローチは、特にVEGF特異的抗体および他の治療法と組み合わせて使用した場合、腫瘍の退縮を促進し、腫瘍再発を抑える効果がある可能性がある。
Goel, H., Mercurio, A. VEGF targets the tumour cell. Nat Rev Cancer 13, 871–882 (2013). https://doi.org/10.1038/nrc3627.
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ベバシズマブはVEGF-Aに対するヒト化抗体。
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血管新生を抑制することで抗がん作用を示す。
その他、変形性膝関節症、前十字靭帯損傷との関連についても示唆される。
おそらくがん以外で最も有名なVEGFを利用した薬剤としては糖尿病性網膜症の治療薬が挙げられる。
- 長期の高血糖負荷はVEGFの発現を亢進させる。
- これが血管新生や黄斑浮腫を 促進し、糖尿病性網膜症につな がると考えられる。
- このため糖尿病性 網膜症の治療薬と して抗VEGF治療 が行われる。