こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

ウイルス

麻疹ウイルスが中枢神経に感染するメカニズム

大学院講義のメモ。 亜急性硬化性全脳炎(あきゅうせいこうかせいぜんのうえん、英: subacute sclerosing panencephalitis; SSPE)とは、ヒトに発症する遅発性ウイルス感染症の1種で、致死性の感染症である。 亜急性硬化性全脳炎は、よく見られるウイルスに…

細胞にウイルスを感染させる方法

ウイルスの作成方法については以前記事を書きました。 teicoplanin.hatenablog.com 今回は作ったウイルスでどのように感染させるかについてです。 と言ってもとても簡単です。 (凍結保存中の場合)ウイルス液を氷上解凍。ゆっくり解凍させるのが大切だと習い…

【文献紹介】poly I:Cのマウス骨髄への影響

調べたこと、勉強したことのまとめです。メモのような感じです。 Polyinosinic:polycytidlyic acid (poly I:C)とは 免疫刺激剤。ウイルスRNAを模倣している合成二本鎖RNA。生物実験において、ウイルス感染を模倣し、免疫応答の研究などに用いられる。 poly I…

【文献紹介】造血におけるTCF15の役割

本日も文献紹介です。抄読会のメモ的な感じです。 Rodriguez-Fraticelli, A.E., Weinreb, C., Wang, S. et al. Single-cell lineage tracing unveils a role for TCF15 in haematopoiesis. Nature 583, 585–589 (2020). <基礎知識> ★Lineage trackingとは? …

【文献紹介】レンチウイルスベクターを介した造血前駆細胞移植によるポンペ病遺伝子治療~その2~

前回記事の紹介です。 前回記事↓ 【文献紹介】レンチウイルスベクターを介した造血前駆細胞移植によるポンペ病遺伝子治療~その1~ - こりんの基礎医学研究日記 Piras G, Montiel-Equihua C, Chan YA, et al. Lentiviral Hematopoietic Stem Cell Gene Thera…

【文献紹介】レンチウイルスベクターを介した造血前駆細胞移植によるポンペ病遺伝子治療~その1~

本日も文献紹介です。 Piras G, Montiel-Equihua C, Chan YA, et al. Lentiviral Hematopoietic Stem Cell Gene Therapy Rescues Clinical Phenotypes in a Murine Model of Pompe Disease. Mol Ther Methods Clin Dev. 2020;18:558-570. Abstract ポンペ病…

【実験解説】ベクター作りの実際

本日は今やっている実験の概要について解説してみたいと思います。 一部公開できないところもありますが、同じような実験をやっている方の参考になれば幸いです。 ある酵素aが欠損していることによって早期に死んでしまうa欠損症を遺伝子治療する ベクター作…

【文献紹介】アデノウイルスベクター筋注を用いた低ホスファターゼ症の治療~その2~

前回の続きです。 前回の記事はこちら↓ 【文献紹介】アデノウイルスベクター筋注を用いた低ホスファターゼ症の治療~その1~ - こりんの基礎医学研究日記 Mol Ther Methods Clin Dev. 2016; 3: 15059. Published online 2016 Feb 3. Treatment of hypophosph…

【実験プロトコール】レンチウイルスベクターの作製方法

今回も実験プロトコールです。 この目的は、自分の頭の整理・知識の確認の他に、いわゆる「おばあちゃんの知恵袋」的な、文献や教科書に載っていないけど知ってるとちょっと役立つようなことを記録しておくことです。 正確性には注意を払っておりますが、利…

CCR5シグナル伝達はマウス・ヒトの放射線照射後造血再生を促進する

再び文献紹介です。 少し前ですが、抄読会で取り上げられたものです。 --------------------------------------------- Stem Cell ReportsVolume 13, Issue 1, 9 July 2019, Pages 76-90 CCR5 Signaling Promotes Murine and Human Hematopoietic Regenerati…

レンチウイルスベクターの保存方法【短期保存】

今日は珍しく連投です。今回の記事は短いですが。 以前レンチウイルス長期保存に関する記事を書きました↓ レンチウイルスベクターの保存方法 - こりんの基礎医学研究日記 最近またウイルスを使用する機会があり、今度は短期保存について調べてみることにしま…

レンチウイルスベクターによる遺伝子治療を用いたAkp2ノックアウト/低ホスファターゼ症マウス治療

再び文献紹介です。最近読んだHPP関連の文献です。 -------------------------------------- J Bone Miner Res. 2011 Jan; 26(1): 135–142. Published online 2010 Aug 4. doi: 10.1002/jbmr.201 PMCID: PMC3179312PMID: 20687159 Prolonged Survival and Ph…

造血幹細胞へのウイルス感染

先日、作成したレンチウイルスを、-80℃で保存すべきところを誤って液体窒素(-180℃)で保存してしまったという記事を書きました。 teicoplanin.hatenablog.com そのウイルスを造血幹細胞に感染させてみました。 方法としては、マウスから精製した造血幹細胞をs…

レンチウイルスベクターの保存方法

雨ばかりの毎日でしたが、今日は久しぶりに晴れて暑いです。 今日は表題のテーマについてです。 =追記(19.9.10)=============== 短期保存については別の記事を書きました↓ レンチウイルスベクターの保存方法【短期保存】 - こりんの基礎医学研究日記 =======…