雨ばかりの毎日でしたが、今日は久しぶりに晴れて暑いです。
今日は表題のテーマについてです。
=追記(19.9.10)===============
短期保存については別の記事を書きました↓
レンチウイルスベクターの保存方法【短期保存】 - こりんの基礎医学研究日記
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レンチウイルスベクター作製は、ラボの先輩より教えていただいた、慶應大学三好先生のプロトコールを用いて行っております。
インターネットでも公開されております↓
上記と全く同じプロトコールではありませんが、ほぼ同じです。
P.2にすぐに使用しない場合は「-80℃で保存」と書かれていますが、何を勘違いしていたか、液体窒素(-180℃)で保存しており、それに昨日気づきました(ウイルス作成自体は約1か月前に行っておりました)。
ラボの先輩に確認しても-80℃でしか保存したことがないため、ウイルスが生きているかわからないと…そこで液体窒素(-180℃)でも保存可能か調べてみました。
結論からいうと「おそらく生きている」のではないかと思われます。
"lentivirus liquid nitrogen"でGoogle検索してみますと、まさに同様の質問がありました。
https://www.researchgate.net/post/Has_anyone_concentrated_and_frozen_aliquoted_lentivirus
この質問に対する回答は複数あるものの、液体窒素liquid nitrogenでのレンチウイルス保存が可能かは明言されていませんでした。
しかし質問者のコメント内にもあるように一時的に液体窒素で保存しその後-80℃で保存するという方法はあるようです。
「液体窒素で瞬間冷凍し、その後-80℃で保存」というProtocolは複数見つかりました。
★MIT Lentiviral RNAi Protocols - Virus Production Summary
"Aliquot or use virus. Virus should be aliquoted, flash-frozen in liquid nitrogen and stored at -80C. There should be no change in titer with freezing concentrated virus. Avoid multiple freeze-thaws."
とあります。
★Cellemics Technology Lentivirus Freeze-Thaw Protection Medium
"Recombinant lentivirus stock is more stable at ultra-low temperature, that is why lentivirus stock has to be snap-frozen in liquid nitrogen or dry ice/ethanol bath, and kept at ultra-low temperature, usually -60 °C to -90 °C."
とあります。
「液体窒素を用いて急速冷凍」ありますが、その具体的期間などについては、言及されているものを見つけることができませんでした。しかし逆にいうとあまり、厳密ではないということでしょうか…。とにかく液体窒素に入れたというだけでウイルス機能がなくなってしまうことはないようです。
既に目的細胞へのウイルス撒きは終えており、あとはうまく機能してくれるのを祈るばかりです…。
その他の注意点としては、
・ウイルスは凍結融解に弱く、約50%が1回の凍結融解サイクルで機能を失ってしまう(上記Cellemics Technology内に記載あり)。
・使用時はon iceでゆっくり解凍して使用する。
などあるようでした。