今日は珍しく連投です。今回の記事は短いですが。
以前レンチウイルス長期保存に関する記事を書きました↓
レンチウイルスベクターの保存方法 - こりんの基礎医学研究日記
最近またウイルスを使用する機会があり、今度は短期保存について調べてみることにしました。
ラボの先輩からもらったウイルス作成プロトコールによれば、作成したウイルスは1週間までなら4℃で保存可能と書かれています。
インターネットで検索してみても「short term strageは4℃保存、long term strageは-80℃」と書かれているものが多いです。
具体的に"short term"とはどれくらいの期間なのか書いてあるものは以外と少なかったですが、こんなものを見つけました。
The morphology of vectors stored at 4°C for 3 and 7 days was not significantly different from the room temperature control, although titer was reduced to 60% and 30-40%, respectively.
4℃で3日間および7日間保存したベクターは、形態上は室温保存のコントロールと有意差はなかったが、力価がそれぞれ60%および30〜40%に減少した。
Effects of Storage Conditions on the Morphology and Titer of Lentiviral Vectors
Rahman, H et al.
https://pdfs.semanticscholar.org/7439/860c7e0a7dceebfb01860a03fb2fbd927f69.pdf
これによると4℃での保存は、一応7日間程度できるようですが、3日程度までにしておいた方がよさそうです。タイターは-80℃冷凍保存で約半分ほどになるとされているので、7日間の場合は-80℃の方がよさそうです。
また同文献によると1時間であればし室温保存も可能なようです(HEK293T細胞へ100%形質導入が可能であったとのこと)。
また、次のような記載もありました。
The vector stored at -80°C for 24 hours exhibited some morphological changes, but only a slight decrease in titer.
-80℃24時間保存されたベクターは、いくつかの形態学的変化を示したが、力価の減少はわずかであった。
てっきり、冷凍・解凍の過程でウイルスにストレスがかかりタイターが落ちると思っておりましたが、そうではないのでしょうか…3日以内など、短期のウイルス保存の場合はどちらがよいのかこの文献だけではよくわかりませんでした。…このあたりはまた時間があるときに調べたいと思います。