講義で習ったことのメモ。
RCTにおけるランダム化後の交絡因子・バイアス
これはあんまり意識したことはありませんでした。なんとなく「ランダム化最強」みたいに思っていたので…(笑)
導入が面白かった1つの文献(Editorial)を紹介してみます。
Cook C, Garcia AN.
Post-randomization bias.
J Man Manip Ther. 2020 May;28(2):69-71.
結婚は恋する2人を結びつける素晴らしい方法ですが、興味深いことに、米国においてはすべての結婚の約50%は離婚または別居、最初の結婚の41%は離婚という結果になります。理論的には結婚する前に適したパートナーを選ぶことが結婚成功の秘訣ではあるのですが、やはり結婚した後に起きていることが結婚の成功に関与していることは明らかです。
ランダム化比較試験(RCT)は結婚ととてもよく似ています。すべてのRCTにおいて、治療前にランダム化(結婚式)が行われ、特定の特性を有する人々をすべての試験群に均等に分配しグループ間の差異が最小限になるように設計されている。
(中略)
しかし、RCTの成功は、ランダム化後の取り組み(結婚式の後に行われる取り組み)にも依存しており、ランダム化後のバイアス(または交絡)は、皆が思っている以上に頻繁に起こる。
結婚に例えているのが面白いですね。ではこの記事で述べられているランダム化後バイアス(また交絡)を次に示していきます。
意識的なpost-randomization biases
- データ捏造/改ざん:同文献によればかなり蔓延しているとのこと。
解決策:Journal側とのデータ共有で - Cherry Picking:自分たちに都合の良いデータのみを集めること。(都合の悪いデータを提示しない)
解決策:事前登録されているRCTのみを査読対象とする。最初に報告されている方法と論文で述べられている結果が一致しているか確認する。 - 介入の不遵守:薬を指示通り飲まない、フォローアップに来ないなど。
解決策:介入がきちんとなされているかのチェックリスト作成。
無意識的なpost-randomization biases
- 治療者の不遵守:治療者の好みなどによって介入法が変わってしまうこと。COIのある企業の製品は使いやすくなるかも?
解決策:COI開示の徹底。デザイン段階で参加医師選択の設計をきちんとする。 - Mode of administration bias:これには様々なタイプがあり、質問票を基にしたデータ収集の際に起こる。例えば、患者が観察されていることを知って行動を変える、医師に良い結果を無意識に伝えるようになる、極端な結果・数値が出たときにそれを重視しない傾向がある、観察者がデータ収集の際に良い結果を書きがちになるなどの傾向を指す。
- 解決策:RCTの場合、データ収集方法を定式化する必要がある。またその内容は治療する医師・スタッフには知らされないようにし、患者にもそのことを周知する必要がある。