こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

救急外来におけるunscheduled return visits=予定外再診者

調べる機会があったので、勉強したことのメモです。

 

予定外に救急外来再診する患者、つまり一度帰したのにまた来てしまう患者はハイリスクなので注意しましょうといった内容です。

 

救急外来におけるunscheduled return visits=予定外再診者について

救急外来退室後、72時間以内の同じ主訴で救急外来を予定外に再受診する患者。

P. Lindsay, et al. The development of indicators to measure the quality of clinical care in emergency departments following a modified-Delphi approach. Acad Emerg Med, 9 (2002), pp. 1131-1139.

※定義は文献によてわずかに異なる場合がある。

 

その割合は研究によって大きく異なるが、0.4-15.8%とされる。ERの混雑につながるだけでなく、診断エラーハイリスク群である。

Verelst S, Pierloot S, Desruelles D, Gillet JB, Bergs J. Short-term unscheduled return visits of adult patients to the emergency department. J Emerg Med. 2014 Aug;47(2):131-9.

 

救急外来の質を表す指標の1つともされているが、様々な要素によって影響を受けてしまう指標でもあり、議論がある。

Trivedy CR, Cooke MW. Unscheduled return visits (URV) in adults to the emergency department (ED): a rapid evidence assessment policy review. Emerg Med J. 2015 Apr;32(4):324-9.

 

再診者は有意にER待機時間が長くなり、また入院率が高くなる。予定外再診は、最初の診断が間違っていたことや症状が持続するなどの理由で再受診する。また一部は初診時に行った治療の有害事象が原因であった。

Verelst S, Pierloot S, Desruelles D, Gillet JB, Bergs J. Short-term unscheduled return visits of adult patients to the emergency department. J Emerg Med. 2014 Aug;47(2):131-9.

 

2回目の予定外受診では約30%に有害事象が観察された。高齢、癌の既往、心疾患、精神疾患、2回目受診時の家族付添い、近医からの紹介受診などが有害事象と関連していた。2回目受診患者は入院率、ICU入室率が有意に高かったが、トリアージレベルは、初回受診患者と予定外再診患者で変わらず。

→予定外再診というだけでトリアージレベルを上げる必要があるのでは?

Sauvin G, Freund Y, Saïdi K, Riou B, Hausfater P. Unscheduled return visits to the emergency department: consequences for triage. Acad Emerg Med. 2013 Jan;20(1):33-9.

 

予定外再診者の15.8%で初回の診断が違っていたとの報告もあり。

Soh CHW, Lin Z, Pan DST, Ho WH, Mahadevan M, Chua MT, Kuan WS. Risk Factors for Emergency Department Unscheduled Return Visits. Medicina (Kaunas). 2019 Aug 9;55(8):457.