こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

エコーガイド下腰椎穿刺

今日も臨床関連の文献紹介です。

 

先日の当直の際、LP(腰椎穿刺)にひすごーーーく苦労した患者さんがいたため試べてみたところ、はじめてエコーガイド下のLPというものがあることを知りました。小児や乳児ではよくやられているようです。世の中には私の知らないことがまだまだありますね(笑)。

 

ちょっとだけ内容を紹介してみます。

 

1.ルーチンとしてのエコーガイド下腰椎穿刺

Peterson MA, et al. Ultrasound for routine lumbar puncture. Acad Emerg Med. 2014;21(2):130‐136.

 

・米国の教育病院の救急部門で行われた前向き試験(RCT)。エコーを用いたLPと用いないLPで差が生じるか検証。

文献より引用

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・18歳以上の成人で腰椎穿刺が必要な患者100人を検証。

・US使用群と非使用群で、施行回数、手技の成功、手技に伴う疼痛、所要時間、Trauma tap率、患者満足度いずれも有意差なし。

・US不使用でのLPが困難な患者、肥満患者などに関してはさらなる研究が必要。

 

2.肥満患者へのエコーガイド下LP

Strony R. Ultrasound-assisted lumbar puncture in obese patients. Crit Care Clin. 2010;26(4):661‐664.

全文読めなかったので一部だけ。

・LPが困難と思われるのはBMI>30の肥満患者。

・過去の文献ではBMIが高くなるほどエコーの有効性は反比例的に低下していくとの報告も。

・しかしFerreらはエコーガイドによって肥満患者でも75%で腰椎ランドマークを特定することができたとしている。

BMIに関係なくエコーを用いることで92%を得られるとの報告あり。

・エコーによってLP成功率が1.32倍になるとの報告あり。

・BMI30以上の患者でエコーガイド下LPは100%成功したとの報告あり。

 

3.感想(私見)

普通の患者さんではあまりエコー使わなくても十分な気がしますね。実際有意差も出ていないようですし。しかし高齢者で体位がうまく取れない人や、石灰化が強い人、肥満の人などは有効かもしれません。これは今後の研究が待たれる、といった感じでしょうか。