先週まで読んでいた文献の続きです。間が開いてしまいました…。
記事まとめ
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【文献紹介】加齢に関連したマウス造血幹細胞の特徴~その1~ - こりんの基礎医学研究日記
【文献紹介】加齢に関連したマウス造血幹細胞の特徴~その2~ - こりんの基礎医学研究日記
【文献紹介】加齢に関連したマウス造血幹細胞の特徴~その3~ - こりんの基礎医学研究日記
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Age-Associated Characteristics of Murine Hematopoietic Stem Cells
Results
・2, 6, 12, 18ヶ月のマウスの骨髄を別のマウスに移植しキメリズムを見る
→18ヶ月例マウスはキメリズム高い。特に骨髄系細胞の再増殖能がリンパ球系の再増殖能よりも高い!!(キメリズム高い)
・高齢マウスでは1.6×10^4個の骨髄細胞に1個は多系統再増殖細胞。これに対し若年マウスは3.2×10^4個の骨髄細胞に1個。
→他系統再増殖細胞は高齢で2倍の頻度。2ヶ月齢から18ヶ月齢にかけて有核骨髄細胞の総数は変化なし。
→つまり合計の骨髄細胞数は変わらず、高齢になるにつれHSCの数は2倍に増加している!!…ことが示唆される。
・18ヶ月齢マウスの骨髄細胞をドナーとして移植してみると…Bリンパ球やTリンパ球の再増殖は見られなかったレシピエントマウスあり。
→高齢マウスの他系統再増殖細胞の中にはリンパ球系細胞に分化しにくいものが存在しているかも?
・筆者らは骨髄細胞の中でもCD34 - KSL集団の中にHSCが濃縮されていると過去に報告。これらの細胞の割合は、6, 12, 18か月までにそれぞれ平均2倍, 4倍, 17倍に増加している。
→骨髄細胞の総数は月齢によらず一定であったため、CD34 - KSLの絶対数は年齢に比例して増加していると考えられる。
・年齢とともにHSC=CD34 - KSL細胞は増加すると考えられるが、その機能は??→異なる月齢のマウスのコロニー形成能を比較してみる。
→月齢に関係なく、ほとんどのCD34 - KSL細胞はIL-3しか存在しない状態では、12日目の脾臓コロニー(CFU-S d12)を生じず…しかしSCF, IL-3存在下では多くの(70-80%)のCD34 - KSL細胞はコロニーを形成した。
→コロニー形成能は若年マウスと高齢マウスで変わらず=同等の骨髄分可能を有することを示唆
・計算上、18ヶ月齢マウスの骨髄細胞10^5個のうち3.8個の細胞が多系統再増殖していると考えられる。(CD34 - KSL細胞のうち23個に1個が多系統再増殖細胞)
・しかしこの閾値以下の少ない(10-20個ほど)のCD34 - KSL細胞を移植したマウスで、骨髄系のみ再増殖が確認できた。
・これを不完全な再増殖細胞と仮定すると、CD34 - KSL細胞のうち13個に1個は多系統または不完全な再増殖細胞があると計算された。
・骨髄は高齢になるにるれリンパ系再構築能が低く骨髄系再構築能が高いHSCが増えていく可能性がある。→高齢マウス骨髄の再増殖能が高いことも説明がつく。
・10個のCD34 - KSL細胞を移植したマウスの骨髄をさらに移植(2次移植)すると…?→全てのレシピエントマウスで骨髄系・リンパ系ともに再増殖を確認。自己複製能が維持されていることを示唆。
→高齢マウスのHSCは…骨髄系分化能↑ リンパ球系分化能↓ 自己複製能→
となっている可能性がある。
・各月齢のマウスの細胞周期を確認…全ての月齢でG0, G1, G2, M, S期にある細胞の割合はほぼ変わらず→細胞周期は月齢によらずほぼ一定。
・またBrdU取り込み実験から推察されるKSL細胞周期(ターンオーバー)は30日(50%ターンオーバーは21日)。
今回は以上です。明日Discussionで最後です。