こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

フルニエ壊疽のレビュー&診断エラー関連論文を受け入れている雑誌

先日のDiagnostic Error in Medicineにて発表したフルニエに関する症例でCase Reportを書いたところ、The American Journal of Medicineにacceptされました。

 

今回はフルニエ壊疽に関する簡単なレビューと、近年投稿数が触れている診断エラーを積極的に受け付けている雑誌を紹介します。

 

 

1.フルニエ壊疽

主に以下を参考にしました↓

Urol Int. 2018 Jul; 101(1): 91–97.
Fournier's Gangrene: Literature Review and Clinical Cases
Sergey A. Chernyadyev et al.

 

  • 外陰部、肛門周囲領域に起こる壊死性菌膜炎。
  • 稀ながら致死的な疾患。治療の遅延によって死亡率は90%に達する。
  • 100,000人あたり1.6症例、男女比10:1と男性に著明に多い。
  • 糖尿病、肥満、悪性腫瘍罹患など免疫不全患者で多い。
  • 画像が診断の決め手→レントゲン、CT、超音波で軟部組織深部のガスを検出→これでフルニエを疑い確定診断は外科的筋膜切開(+組織学的証明)。
  • 精巣は外陰や肛門周囲と血流が独立しているため、フルニエの影響を受けないのが特徴。
  • 治療は、広域抗生剤と緊急の外科的処置=デブリードマン。
    ★抗生剤:ニトロイミダゾール、フルオロキノロン、アミノグリコシド &第2-3世代セフェム
  • 予後不良因子:会陰を超える組織損傷、severe sepsis & septic shock、脈拍>90bpm、WBC>20000/ μL

2.診断エラー関連論文を受け付けている雑誌

今回は、Green JournalでおなじみThe American Journal of MedicineにAcceptされました。毎年IF5前後であり、以下に挙げる雑誌の中でもIFはかなり高い方かと思います。

 

また同誌にはDiagnostic Dilemmaといういかにも診断エラーっぽい症例を投稿するセクションがあり、お勧めです。

 

他の雑誌もいくつか挙げてみます。近年のIFも記載しておきます。

 

  • The American Journal of Medicine IF5前後
    Diagnostic Dilemma 1500 words

  • QJM: An International Journal of Medicine IF2前後
    Case Report 700 words
    Clinical picture 500 words (ただし200-300wordsが望ましいとの記載あり)

  • BMJ Case Reports IFなし
    Case Report no official word count (ただしMax2000wordsが望ましいとの記載あり)

こんなところでしょうか。語数制限は変わることもあるので、投稿規定をご参照ください。