ワシントン3日目。学会2日目です。本日は学会は午前だけ参加し、午後は観光に行きました。
★「診断エラー学」とは?
診断のミスや遅れを、その医師個人の知識や技術不足とするのではなく、様々なバイアスによっておこるものとして科学的に分析することにって、診断の精度を上げることを追及するという学術分野のこと。
1.Diagnostic Valueについて
診断精度を上げるためのツールしての"diagnostic value"に関する講義でした。
まず、症例の呈示がありました。
*********************
★18歳男子
ラクロス選手。高校最後の試合の2日後からめまいvertigoと嘔吐ありERへ。
担当医師は彼がドラッグをやっている者と決めつけ、まともに診察せず。
診断は…橋梗塞!
(ラクロス時の頭部外傷による頭蓋内血腫を原因として動脈が閉塞)
*********************
レクチャーの要点まとめ
①診断エラーとそれに関連した危険の公衆衛生・医療経済に対する影響
…Diagnostic errorは米国で年間1200万件起こっており、経済的損失は1000億円以上
→とにかく経済的影響はすごい!
※提示症例とからめると…Neuroimaging分野における(画像の)overuse, misuseは大きな問題。めまい=dizzinessに対する無駄なCT単独評価は年間10億円の無駄!
②"diagnostic value"の定義
Diagnostic valueとは?
Diagnostic valueを上げる努力が必要→診断精度を挙げコストを下げる。
※提示症例とからめるとと…たとえば脳卒中時に見られるgogglesを機械的に検出し(Eye ECG)画像評価を行うか検討する。
③ヘルスケアにおける経済的展望・ポリシーバリアに関する議論
診断アウトカムを正しく評価し、新たなpaymentシステムでそれを支える。
2.診断とAI
これは途中までしか講義を聴くことができなかったので、一部のみです。
現在あるAIは全てspecific AI=ある特定の分野において秀でたAI
※General AIといういわゆる何でもできるAIはSFの世界だけで現実には存在しない。
例えば…糖尿病性網膜症
非常に高い診断精度
例えば…肺癌
AIにも特異不得意はあるが、画像評価は優れている。
学会の内容レポートは以上です。
診断エラー学はおそらくこれから少しずつ発展していく分野かと思います。
自分の発表も滞りなく終了し、レクチャーも結構聞くことがきたので、大変充実していたと思います。
DEMは少しずつ参加者が増えているものの、まだまだ小さい学会であり、抄録はとても通りやすいので、レジデントなどが初めて参加する学会としてはお勧めです。
今回は以上です。