造血幹細胞は女性ホルモンエストラジオールの影響を受けるという記事を書きました。
その続きのような感じです。
造血幹細胞(HSC)はエストラジオールに暴露されると、細胞周期がまわり、分裂速度があがるそうです。
(ただしHSCの数やFrequenciesが増加するわけではないので、HSCの非対称分裂が増加するのではないかとされています。)
では、なぜこのようなことが起こるのか?という話になります。これによってどのような生物学的メリットがあるのでしょうか。
こちらの論文を参考にしてみました↓
Calvanese V, Lee LK, Mikkola HK. Sex hormone drives blood stem cell reproduction. EMBO J. 2014 Mar 18;33(6):534-5.
上記論文によると
- 妊娠中はエストラジオール増加→HSC分裂頻度↑→造血促進→妊婦の生理的貧血に対向する作用がある。
- 胎児が(女児であっても男児であったも)多量のエストロゲンに暴露される→これによって胎児の造血が促進される?
のような説が挙げられていました。とくに後者に関してはまだまだ研究途上のようです。
ちなみにオスマウスにエストラジオールを投与してもHSC自己複製が促進されるらしいです。