Takano H, Ema H, Sudo K, Nakauchi H.
Asymmetric division and lineage commitment at the level of hematopoietic stem cells: inference from differentiation in daughter cell and granddaughter cell pairs.
J Exp Med. 2004 Feb 2;199(3):295-302.
Introduction
- 造血幹細胞(HSC)の細胞運命決定がどのようになされるかを解明することは幹細胞研究分野の重要な課題であるが未だ達成されていない。
- colony-forming cells assayによってHSC分裂の確率論的モデルを提示している。
参考
コロニー形成細胞(CFC)アッセイは、半固形培地でコロニーを形成する能力によって造血前駆細胞の増殖と分化のパターンを研究するために使用されます。
- 筆者らは細胞運命決定についてより詳しく調べるために1つのHSC(CD34-KSL)が1回分裂して2個の娘細胞になる過程を詳細に解析し、細胞運命決定と幹細胞性喪失(分化によって多分化能と自己複製能を失う)
Results&Discussion
- CD34-KSLをさまざまなサイトカインの組み合わせで5日間培養→1回分裂し2個の娘細胞になったところで1つ1つ別のウェルに移し10-14日間培養。形態学的にどのような血球に分化しているかを観察。
- CD34-KSL細胞は過去に筆者らの実験で25-50%が移植後多系統再構築能を示すことが分かっていたが、今回の筆者らの実験では40‐60%程度と推定された。
- 合計340個の娘細胞(170ペア)が正常にマイクロマニピュレーションされ、娘細胞のどの程度の分化能を示すか調査。
→親細胞分裂の誘導に使用されるサイトカインに関係なく、nmEM(好中球、マクロファージ、赤芽球、巨核球への分化が可能)4種の分化能をもった娘細胞が最も頻繁に確認された。 - 細胞分裂を誘導するためにSCFのみを使用した場合、52%ので非対称分裂が起き、IL-3をSCFと併用した場合に非対称分裂の確率がわずかに増加。
- TPOとSFCを併用した場合、非対称分裂率は0.17に低下。
- nmEMの4系統に分化可能な細胞のペア(もう片方の娘細胞)は、3能か2能か単能と、4系統よりも分化能が限定されていた。
→→→非対称分裂が細胞運命決定に関与しており、非対称分裂するかどうかは使用するサイトカインにかなり依存している。 - ほとんどの娘細胞と孫娘細胞のペアでは、2つの細胞のうちの1つがその親細胞からnmEM分化能を継承。
- 興味深いことに、合計154ペアの娘細胞と孫娘細胞でnm系統とEM系統の組み合わせは観察されず。