こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【文献紹介】造血前駆細胞におけるDnmt3a変異とTet2変異の違い

勉強したことのメモ。

 

Ostrander EL, Kramer AC, Mallaney C, Celik H, Koh WK, Fairchild J, Haussler E, Zhang CRC, Challen GA.

Divergent Effects of Dnmt3a and Tet2 Mutations on Hematopoietic Progenitor Cell Fitness.

Stem Cell Reports. 2020 Apr 14;14(4):551-560. 

 

  • DNAメチル化を制御するDNMT3AとTET2の変異は造血系疾患において多く見られる。
  • この2つは拮抗的な作用を持っているにもかかわらず、それぞれを欠損させたマウスモデルは、HSC適合性アップに関して似たような表現型を呈する。
  • 今回の文献で造血前駆細胞機能と疾患発症に関するこれらの変異の影響を直接比較した。
  • Dnmt3a欠損HSCはIn vivoで無限の自己複製能を発揮するのに対し、Tet2欠損HSCは自己複製能が初期に増加するにも関わらず連続移植を行うとWTと同じ程度の速度で枯渇してしまう。
  • また、Tet2欠損HSCの方がDnmt3a欠損HSCよりもFlt2ITD欠損を追加したときの感作がより敏感になる。
  • Tet2変異は、HSCに対して長期的影響はあまりないが、前駆細胞が骨髄系細胞に分化しやすくなる効果がある。