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Nature日本語版Abstractによると、
- がんの転移にNK細胞が大きく関与している。
- 原発巣ではなく転移巣の腫瘍細胞増殖に主に関与している。
- 一部がんでは腫瘍浸潤NK細胞が多い人ほど転移が少ない。
- NK細胞機能低下や枯渇もまた転移につながる。
- 腫瘍細胞は休眠状態になるとNK細胞殺傷抵抗性になる。
- マウスにおいて乳がんの肝転移巣周囲の細胞を調べると、NK細胞が多いことが分かった。
「腫瘍の存在しない領域を比較し、NK細胞は休眠状態の腫瘍細胞の周囲において数が増加する唯一の免疫細胞種であることを見いだした。」とある。 - マウスモデルでNK細胞を枯渇させると肝臓での転移腫瘍が多くなる。一方でIL-15を介してNK細胞を増殖・活性化させると肝転移形成が抑制される。
- さらなる著者らの実験により、肝星細胞が転移に先立って増加することが分かった。
肝星細胞増加
→肝星細胞がケモカインCXCL12を分泌
→CXCL12受容体であるCXCR4受容体が反応
→CXCL12–CXCR4の相互作用
→肝臓NK細胞増殖停止
→NK細胞機能抑制
→休眠中の転移細胞が覚醒し転移巣ができる - 現在NK細胞を活性化させるALT-803やNKTR-255をはじめとするIL-15スーパーアゴニストは臨床試験中。
- CXCR4を阻害する薬剤も複数開発されており、これが転移を防ぐかどうかも注目される。
- NK細胞はこれまでもがんを標的とする治療として有望視されていたが、これまで以上に有効な可能性を示唆している。