こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【文献紹介】ナチュラルキラー細胞による腫瘍細胞休眠~前編~

勉強したことのメモ。Natureダイジェストで目に付いた記事を紹介。

 

腫瘍細胞を休眠へといざなうナチュラルキラー細胞

腫瘍細胞を休眠へといざなうナチュラルキラー細胞 | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio

ナチュラルキラー細胞は、原発巣から他の場所に広がる転移がん細胞を休眠状態に誘導できることが分かった。この知見は、こうした抗腫瘍機能を妨げる経路の発見と共に、新しい治療法の開発を促す可能性がある。

 

記事の内容の前にナチュラルキラー細胞(NK細胞)に関して少々触れる。

 

まず免疫系は以下のように分類される。

※ピンクはその免疫が障害されたことによって感染しやすくなる菌、ウイルスなどを示す。

 

1.自然免疫:好中球、マクロファージ、樹状細胞
   緑膿菌、多剤耐性菌(MRSA、ESBL酸性菌)、HSV/VZV

2.獲得免疫

 ①液性免疫:B細胞、抗体
  細菌(肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、クレブシエラ)、真菌
  ※莢膜を持つ微生物に感染しやすくなる

 ②細胞性免疫:T細胞
  細胞内寄生菌(黄ブ菌、レジオネラ、リステリアetc)、抗酸菌、
  全てのウイルス、真菌、寄生虫
  

免疫の仕組みは以前にブログでも紹介した「目からウロコ!4つのカテゴリーで考えるがんと感染症」の4つのカテゴリーが分かりやすい。

以下の図では上記に加えて「皮膚=バリア」も免疫の1つとして入れている。

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出典:医学書院「目からウロコ! 4つのカテゴリーで考えるがんと感染症

NK細胞は細胞性免疫と自然免疫に関与する。

以下の図が分かりやすい。

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出典:

https://www.jmedj.co.jp/files/item/books%20PDF/978-4-7849-3069-2.pdf

例えばB細胞は抗体を介さなければ最近などの外敵を攻撃することができず、T細胞は抗原提示などの指令を受けなければ細胞を攻撃することができない。

しかしNK細胞はどこから指令を受けることもなく異物細胞を攻撃できる。

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出典:がん治療新時代WEB:がん免疫療法で新たに注目される「NK(ナチュラルキラー)細胞」

今回はここまで。

 

参考:

自然免疫と獲得免疫 | MBLライフサイエンス

細胞性免疫と液性免疫 | MBLライフサイエンス