Cell Stem Cell誌でMost readの論文を読んでみました。
流し読みです。簡単な内容になります。
Van Egeren D, et al.
Reconstructing the Lineage Histories and Differentiation Trajectories of Individual Cancer Cells in Myeloproliferative Neoplasms.
Cell Stem Cell. 2021 Mar 4;28(3):514-523.e9.
- いくつかの悪性腫瘍は単一の遺伝子変異によって起きる。骨髄増殖性腫瘍に関しては造血幹細胞(HSC)にこれが起こると考えられる。
MPN には,慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia:CML),慢性好中球性白血病(chronic neutrophilic leukemia:CNL),真性赤血球増加症または真性多血症(polycythemia vera:PV),原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis:PMF),本態性血小板血症(essential thrombocythemia:ET),慢性好酸球性白血病(chronic eosinophilic leukemia:CEL),好酸球増加症候群(hypereosinophilic syndrome:HES),肥満細胞症(mastocytosis),分類不能骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms,unclassifiable:MPN, U)が含まれる。
出典:日本血液学会造血器主要ガイドライン 2013年版
- 骨髄増殖性腫瘍の未治療患者から骨髄検体を取り、骨髄前駆細胞(HSPC)のSingle-cell transcriptomeとwhole-genome sequencingを実施。
- JAK2-V617F(多くの骨髄増殖性疾患で原因とされている)がHSCの自己複製能と分化能にどのように影響を与えるかを若年者、高齢者それぞれで調査。
- ちなみにJAK2 -V617Fクローン造血は、心血管疾患のリスク増加とも関連している。
- 骨髄増殖性腫瘍の診断辞典でHSCの5%以上はJAK2変異体HSCの子孫。
- クローン造血(CHIP)で見つかるよりも急速にJAK2変異クローンが増殖することで骨髄増殖性疾患が発症することが示唆される。
- 今回の研究でJAK2変異がHSCの自己複製のだけでなく子孫細胞の分化にも影響を与えることが分かった。
- PV, ET患者では診断時に造血分化階層の大半は保存されている。が、AK2変異HSPCは巨核球-赤血球バイアスに分化が偏りやすくなる。
- JAK2変異細胞の割合は、同じ患者でも、違う系統の前駆細胞集団で大きく異なる。