勉強したことのメモ。
今日のテーマは赤血球の免疫。
赤血球は哺乳類循環細胞の大部分を占めており、酸素を運搬するという重要な役割を担っている。しかし免疫には関与していないと考えられていた。
が、今回紹介する論文は赤血球が免疫に関与しているという内容。
まずToll-like receptor:TLRについて解説。
- ショウジョウバエの正常な発生に必要な遺伝子として発見される。
- その後、哺乳類の炎症や獲得免疫に関与していることが分かった。
- 樹状細胞やマクロファージなどの自然免疫を担当する細胞にも、獲得免疫の中心であるT細胞にも発現している。
- 例えば、獲得免疫を主に担うT細胞のに発現しているTLRの働きは以下の通りである。
T細胞表面に発現しているTLR2が細胞壁成分を認識する
→TLR2下流のシグナル伝達分子であるTIRAPの発現が誘導
→インターフェロン分泌を惹起するなど免疫応答や炎症が惹起される
参考:
Wikipedia「Toll様受容体」
病原体成分がT細胞を活性化するメカニズムを解明 | 理化学研究所
で、今回の論文は赤血球細胞表面にあるTLR9が炎症を促進するという内容。
Lam LKM, Murphy S, Kokkinaki D, et al.
DNA binding to TLR9 expressed by red blood cells promotes innate immune activation and anemia.
Sci Transl Med. 2021 Oct 20;13(616):eabj1008.
筆者らのチームは、この論文に先立って、炎症を誘発するCpGを含むDNAを赤血球が直接除去することができ、それにTLR9が関与していることを報告する論文を出しています。今回の文献は先行して発表された文献の発展形という感じでしょうか。
本文の内容は以下の通り。