勉強したことのメモ。最近話題のがん治療法。
簡単に言うとがん患者さんの白血球にがん細胞と戦う能力を負荷して戦ってもらう治療。
がん細胞はT細胞などの免疫細胞に攻撃されないように、抗原が細胞外に出ないように(あるいは低発現状態)なっている。
※通常、体外から侵入してきた病原体などは樹状細胞などの抗原提示細胞内に取り込まれ、異物であることを示す抗原提示が主要組織適合抗原(MHC)によって行われることでT細胞から攻撃を受け障害される。
抗原が提示されていなくてもがん細胞を攻撃できるようにT細胞を作り替える治療がCAR-T療法。
- がん患者さんの白血球をとる
(アフェレーシス=透析のような機器を用いる) - 白血球の1つT細胞を遺伝子改変
標的遺伝子に対抗する「キメラ抗原受容体(CAR)」をコードする遺伝子をT細胞に導入→T細胞表面にがん細胞を認識できるような受容体ができる
=がん細胞を攻撃できるようT細胞を作り返る - 患者さんに作り替えたT細胞を戻す(輸血のような感じ)
- 患者さんの体内に戻った新しいT細胞ががん細胞を攻撃する
これまでの抗がん剤や骨髄移植で治らなかった病気を治すことができる可能性があるため注目されている。日本では、しあしょのCAR-T療法用細胞製品であるキムリアによる治療が2019年に白血病や悪性リンパ腫に保険承認された。
キムリアの場合、上記「2.」に相当するステップで、レンチウイルスベクターを用いて、ex vivoで抗CD19CARをコードする遺伝子をT細胞に導入する。
→このため、個の適応となるのはCD19陽性の腫瘍細胞が主となる疾患であるため、キムリアの適応は、
- 再発・難治性のCD19陽性B細胞性急性リンパ芽球性白血病(25歳以下)
- 再発・難治性のCD19陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
となっている。
なぜCD19?
→CD19抗原はさまざまなB細胞悪性腫瘍で⾼度に発現しているのでこれが選ばれ、最初のCARが作られた。
その後、2製品(イエルカスタ、ブレヤンジ)2つの製剤が現時点では日本で承認されている。
副作用として以下のようなものが報告されている。
- サイトカイン放出症候群(T細胞の活性化に伴う高サイトカイン血症によるもの)
- 腫瘍崩壊症候群
- 神経毒性
- 血球減少(それに伴う感染症)
CAR-T療法成績は?
- ELIANA trial: Tisagenlecleucel in Children and Young Adults with B-Cell Lymphoblastic Leukemia
B-ALLに対するCAR-T療法 第2相試験
→再発または難治性B-ALLの小児および若年成人に対して長期に高い寛解率を維6
寛解率維持率:6ヵ⽉で80% 12ヵ⽉で59% - JULIET trial: Tisagenlecleucel in Adult Relapsed or Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma
成人DLBCLに対するCAR-T療法 第2相試験
→高い持続奏効率を達成
40%が完全奏効 12%が部分奏効
奏功維持率:6ヵ⽉で68% 12ヵ⽉で65%
参考:
CAR-T細胞療法 | ノバルティス | Novartis Japan
国内3つ目のCAR-T細胞製品ブレヤンジ、再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫の適応で承認了承 | がん情報サイト「オンコロ」