こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【文献紹介】クローン性造血と心不全の関連

Yu B, Roberts MB, Raffield LM, et al.

Supplemental Association of Clonal Hematopoiesis With Incident Heart Failure.

J Am Coll Cardiol. 2021 Jul 6;78(1):42-52. doi: 10.1016/j.jacc.2021.04.085. PMID: 34210413.

  • clonal hematopoiesis of indeterminate potential (CHIP)(特にDNMT3A、TET2、ASXL1、およびJAK2)は心血管イベントとの関連が示唆されている。
  • 今回、心不全・血液悪性腫瘍を有さない無症候者のCHIPの有無を調査し、心不全の発生と関連があるか検証した。
  • 56,597人(女性59%、平均年齢58歳)のうち3,406人(6%)がCHIPを患い、4,694人が最大20年間の追跡調査で心不全を発症した(8.3%)。
  • ASXL1、TET2、JAK2変異は心不全リスク増加と関連していた。
  • しかしDNMT3A変異の有無は心不全発症と関連なし。
  • ASXL1変異は左室駆出率低下と関連していた。
  • CHIP(その中でも特にASXL1、TET2、JAK2変異)は心不全の新たなリスク因子である。