こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【文献紹介】Ptpn21がHSCの細胞の形の維持に関与

今回はAbstractのみです。

 

Ni F, Yu WM, Wang X, et al.

Ptpn21 Controls Hematopoietic Stem Cell Homeostasis and Biomechanics.

Cell Stem Cell. 2019 Apr 4;24(4):608-620.e6.

 

  • 造血幹細胞(HSC)にはタンパク質チロシンホスファターゼであるPtpn21が高度に発現している。
  • Ptpn21は細胞の物理的剛性の維持に関与している→つまりPtpn21によって細胞の形が維持され、骨髄外に(血管内皮細胞の隙間を通って血管内に)HSCが出て行ってしまうのを防ぐ効果がある。
  • Ptpn21を欠損させると…
    細胞骨格維持を制御するSeptin1がリン酸化される
    細胞骨格のリモデリングが損なわれる
    →物理的剛性がなくなり細胞が変形しやすくなる
    →血管内皮細胞の隙間を通って血管内に出ていきやすくなる
     (ニッチから出ていきやすくなる)
    ・HSCの移動性が向上
    ・静止状態が低下
    アポトーシスが増加
    ・再構成力が低下
  • Ptpn21が細胞力学を維持している。