こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【文献紹介】急性感染後に血栓リスクは上昇する

NEJMの記事で目に付いたものをご紹介します。

だいぶ前のものですが…

 

ORIGINAL ARTICLE

Risk of Myocardial Infarction and Stroke after Acute Infection or Vaccination

List of authors.
  • Liam Smeeth, Ph.D.
  • Sara L. Thomas, Ph.D.
  • Andrew J. Hall, Ph.D.
  • Richard Hubbard, D.M., 
  • Paddy Farrington, Ph.D.
  • and Patrick Vallance, M.D.

 

  • 慢性炎症はアテローム動脈硬化を促進する。
  • 急性炎症でも心筋梗塞脳梗塞などの血管イベント発生率上昇につながるかもしれない。→これをケース・シリーズ法を用いて検証。
  • イギリスのデータベースである英国一般診療研究データベース(GPRD)を使用。約570万例の中から、心筋梗塞脳梗塞の診断を受けている人を抽出し、その患者のワクチン接種歴(インフルエンザ、破傷風、肺炎球菌)に関するデータと、尿路感染症・肺炎・気管支炎・インフルエンザなどの急性感染症に関するデータも抽出された。
  • インフルエンザ・破傷風・肺炎球菌のワクチン接種後に、心筋梗塞脳卒中のリスクは上昇しなかった。
  • しかし心筋梗塞脳卒中ともに全身症状を伴う気道感染の診断後に大きく発症リスクが上昇。
    心筋梗塞の発生率比 4.95,95%信頼区間 4.43~5.53
    脳卒中の発生率比 3.19,95%信頼区間 2.81~3.62
  • 最初の3日間が最もリスクが高く、その後数週間で徐々に低下。
  • 尿路感染後より、肺炎などの胸部感染症の後の方がリスク上昇の程度は高かった。