こちらは過去に大学で聞いた講義の内容を参考にしています。
以下に出てくる紙が折りたたまれるたとえもそのときに聞いて分かりやすいと思ったものを紹介しています。
エピジェネティクスはエピゲノム、エピジェネティックな、などとも呼ばれますが、Wikipediaによると
「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化を研究する学問領域」
だそうです。
例えば、双子は一卵性の場合全く同じ遺伝情報を持っているとされていますが(近年これに反する研究もありますがここではわかりやすくするため同一とします)、片方だけ癌になるなどといったように片方だけ病気になるような場合もあります。
これは環境要因によるものと考えられ来ましたが、別の要因として、DNAは同じでもその後の発現の仕方が異なることによってタンパク質合成のされ方が変わり、ひいては表現型も変わるという可能性も指摘されています。
以下の図を見てみましょう。
一番最初の文字列(DNA配列を模しています)がは同じですが、紙の折りたたまれ方で大腸の細胞になるか癌の細胞になるかが変わっています。
このようにDNA配列が変わらないにも関わらず結果が変わってしまうしくみを研究するのがエピジェネティクスです。
このエピジェネティクスを制御している機構は主に2つあります。
DNAメチル化とヒストン修飾です。
1.DNAメチル化
ブログでも何度か紹介しています。
4つの塩基の組み合わせの中で、シトシンの次にグアニンが続く配列のシトシンにメチル基(-CH3)が付加され、5メチルシトシンになることをDNAメチル化といいます。哺乳類では3種類のDNAメチル化酵素と3種類のDNA脱メチル化酵素が見つかっています。DNA配列のなかには、CG配列が集まって密に存在する領域(CpG island)があり、CpG island のDNAメチル化は、遺伝子が働きはじめる過程に深く関与することがわかっています。
出典:国立環境研究所コラム「エピジェネティクス」
過去記事で以下のように紹介しています。
メチル化される→遺伝子発現がOffに
…これを担っているのはDNAメチル化酵素DNMT3AとDNMT3B
脱メチル化される→遺伝子発現がOnに
....これを担っているのはTet1,2,3などのTetファミリー
メチル化はされすぎてもされなすぎてもがん化に関与します。
2.ヒストン修飾
ゲノムDNAはヒストンというタンパク質に巻き付いた状態で核内に収納されています(この構造をクロマチンといいます)。ヒストンがアセチル化、メチル化、リン酸化やユビキチン化などの修飾を受けると、クロマチン構造が変化し、DNAと転写因子などの核内因子との接近のしやすさが変化し、遺伝子の発現制御が可能となります。アセチル化は遺伝子発現の活性化に関与します。
出典:国立環境研究所コラム「エピジェネティクス」
ヒストン修飾に関してはまた別の記事があります。
今回は以上です。