こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

Clinical Effectiveness Research 比較効果研究

講義で習ったことのメモ。

 

Clinical Effectiveness Research 比較効果研究

米国国立アカデミー医学研究所(Institute of Medicine;IOM)は、CERを以下のように定義している。

 

CER とは,疾病の状態を予防,診断,治療,監視する,あるいは医療の提供を改善する種々の方法の利害を比較するエビデンスを生成し,合成することである.CER の目的は,消費者,臨床家,購入者,及び政策立案者への情報提供による意思決定(informed decisions)を支援し,それにより個人と集団のヘル
スケアをいずれも改善することにある.
出典:鎌江 伊三夫「医薬経済学的手法による医療技術評価を考える<2>─EBM, VBM, HTA:概念を整理する─」

 

CERという概念は、米国のオバマ政権による医療政策重視の流れのなかで登場。
米国は世界で最も医療費が高額であり(しかも5000万人弱の無保険者を抱えている)、平均寿命が米国より長いはずの日本や他の先進国を圧倒的にしのぐほどである。医療費の高騰を抑えつつ医療の質を担保したい米国は臨床研究に答えを求めた。その結果、2009年に計上された景気悪化支援策予算のうち11億ドルを治療・診断・各種医療サービスの比較効果研究(comparative effectiveness research:CER)に割り当てた。

 

あいまいな概念で分かりづらいが、「費用対」効果比較研究と考えると多少わかりやすい。
※米国は費用の概念を含めないとしているがヨーロッパでは含めるとしているなど見解が微妙に分かれている。
 
前向き研究も後ろ向き研究も可能。
 
 
CERの例↓
 
Soeteman DI, Stout NK, Ozanne EM, Greenberg C, Hassett MJ, Schrag D, Punglia RS.
Modeling the effectiveness of initial management strategies for ductal carcinoma in situ.
J Natl Cancer Inst. 2013 Jun 5;105(11):774-81. doi: 10.1093/jnci/djt096. Epub 2013 May 3. PMID: 23644480; PMCID: PMC3776282.
 
非浸潤性乳がんの治療法のメリット・デメリットをシミュレーションを用いて検証するという内容。新薬vsプラセボといったような形式の臨床試験はには該当しない。