公衆衛生セミナーで勉強したことの備忘録です。
例えば以下のようなClinical questionを持ったとする。
「妊娠中に貧血となる妊婦は早産になりやすいか?」
→これをどのように臨床研究で検証するか?
まずRCTは困難である。患者を強制的に貧血にさせる、あるいはその結果として早産にさせるというのは危険を伴うからである。そもそも人為的に貧血状態を作るというのも困難である。このようにRCTを組むのがそもそも困難な場合というのが存在する。
<RCTが困難とき>
- 遺伝子型や遺伝子変異の違いなどで比較をしたいとき
- 危険な曝露のとき(喫煙など)
- 倫理的に問題があるとき
- 環境的な曝露のとき
例えば、飲む水の種類によって健康に影響が出るか?というのを調べたいとしても、住む場所によって飲む水の種類や成分が異なるため、これを前向きにランダム化するのは難しい。
→このようなときにコホート研究がおこなわれる。
コホート研究では患者をExposure=曝露の違いによって分ける。
これに対して、Case control studyの場合は、Outcome=結果の違いによって分ける。
例えば最初のClinical questionの場合は、以下のように患者を分類する。
- 妊娠中貧血になる群 ---早産群・非早産群
- 妊娠中貧血にならない群 ---早産群・非早産群
研究のスタート時期によって前向きか後ろ向きかが決まる。
例えば、今の時点から研究を始めるとして、貧血妊婦群と非貧血妊婦群を集め早産群・非早産群、早産になるかチェックする場合は前向きコホートとなるが、過去のカルテ記録をレビューし、貧血妊婦群と非貧血妊婦群を集め、早産になっているかどうかチェックする場合は後ろ向きコホート研究となる。
コホート研究のメリット
- Incidenceの計算が可能
- 珍しい曝露にも無手いる
- いくつものアウトカムを検証することが可能
コホート研究のデメリット
- 長期のフォローアップ機関が必要となる(前向きのとき)
- 費用と時間がかかる
- 珍しいアウトカム(珍しい疾患など)の評価には向いていない
→これはCase control studyに似ている - loss of follow-upによってbiasが生じる
Follow-up timeについて
=患者がフォローアップされている日数
- Prospective: 外来、メール、電話などでフォローするがどのようなフォローアップ方法でも脱落者が生じるという問題がある。
- Retrospective: データはそろっているがフォローアップ期間は人によってばらばら。
上記の研究の場合、フォローアップ機関は360日。主に前向き研究のときに使われる概念。
どのような状況ならば100%のフォローアップを達成できるか?
- 調査期間が短い(例えば数日など)。
- 国によるアウトカム調査など。
- フォローアップの努力をする。
他のバイアスについて…
★Selection Biasについて
以下のような場合にはSelection biasが起こる?
「アメリカ、モロッコ、日本の病院を対象に、各国の言語をベースとしたアンケートによって食生活を調査し、それががん発症と関連するかを調べる」
→異なる言語でアンケートを作成しており、統一した結果を得るのが難しい。また食生活も国によって大きく異なっており、これを一律に評価するのが難しい。
「25(OH)Dを入院前に内服している患者は入院中死亡率が高いかを調査する」
→25(OH)Dを内服している理由がまちまち。
★Information biasによって
Missing informationがコホート研究ではしばしば問題となる。