授業の課題で扱った文献の紹介です。
Paridou A, Velonakis E, Langner I, Zeeb H, Blettner M, Tzonou A.
Mortality among pilots and cabin crew in Greece, 1960-1997.
Int J Epidemiol. 2003 Apr;32(2):244-7.
- パイロットや客室乗務員は宇宙由来の放射線に頻繁に暴露することによる健康被害が出る可能性がある。
- それまでに行われた死亡率調査では、全ての原因の標準化死亡率(SMR)は一般集団より低い。
- ギリシャの航空会社のパイロットと客室乗務員を対象に後ろ向きコホート研究で調査。
- 1945-1997年までにはオリンピック航空で働いたことのあるパイロット843人、客室乗務員1835人を調査。
- 全ての原因の死亡と特定の死因についてSMRを計算した。
- フォローアップ平均期間はパイロット22.4年、客室乗務員20年。雇用期間の中央値はパイロット18.3年、女性客室乗務員で15.6年、男性客室乗務員で16.5年。
- 全ての原因でのSMRは0.7(95%CI:0.5–0.9)、全ての癌で0.6(95%CI:0.3–0.9)。肺がん死亡率は特に低く、脳腫瘍はわずかな上昇あり。
- 航空事故死亡率はほかの研究と同等。
- イベント数が少ないのがLimitationの1つである。
<私見>
がん含め全ての原因の死亡率が低いという結果でした。なんとなくですが、パイロットや客室乗務員は、なる段階でのSelectionが結構厳しく、もともと健康意識の高い人が選ばれていそうなので、その影響のほうが被爆の影響よりも大きいのでしょうか。個人的には妊娠しているパイロットや客室乗務員さんへの被爆の影響も知りたいところです。