前回に引き続き臨床関連の文献です。これもやはりセミナーで紹介されたものです。
Yasunaga H, et al.
Relationship between hospital volume and operative mortality for liver resection: Data from the Japanese Diagnosis Procedure Combination database.
Hepatol Res. 2012 Nov;42(11):1073-80. doi: 10.1111/j.1872-034X.2012.01022.x. Epub 2012 May 1.
- 肝臓がんは論文発表時点では日本における癌死の第4位を占める疾患。
- 肝臓がん患者の約3割程度が手術を受ける。
- 病院の規模(手術件数)と術後死亡率や合併症の関連に関しては報告が増えてきているが、多くは米国のデータに基づいている。
- 米国における肝切除後在院死亡率は3%以上とされているが、肝細胞がん死術後30日死亡率は0.7%と非常に低い数値に抑えられている。
- 標準術式が広く普及し、死亡率の低い日本においても病院の規模と予後に関連が見られるのではないかと言うことを調査することを筆者らは目的とした。
- 日本のDPCデータを使用。2007年7月から2009年12月の間に肝切除を受けた18046人の患者のデータを使用。
- 多変量ロジスティック回帰分析を用い、手術後30日以内の院内死亡率を解析した。
- 肝臓手術は規模(切除範囲)に応じて4種類あり。
limited resection
<segmentectomy
<lobectomy
<extended lobectomy - 小規模手術2つ(limited resection, segmentectomy)は施設間の成績の差は無し。
- 大規模手術2つは(lobectomy, extended lobectomy)は、ハイボリュームセンターになっていくほど有意に死亡率が低下していく傾向あり。
- 米国ではhospital volumeと予後の関連はすでに長く議論されており、ハイボリュームセンターへの症例集中などが実際に起きている。
- では日本ではどうすべきか?比較的小規模な手術はよいが、大規模手術は特定の施設に集中させる必要があるのではないか。