調べる機会があったので、糖尿病に関する文献紹介です。 非常に有名な文献で、引用回数はなんと21254回(2万回以上!)です。
日本語Abstract
Knowler WC, Barrett-Connor E, Fowler SE, Hamman RF, Lachin JM, Walker EA, Nathan DM; Diabetes Prevention Program Research Group.
Reduction in the incidence of type 2 diabetes with lifestyle intervention or metformin.
N Engl J Med. 2002 Feb 7;346(6):393-403.
Introduction
- 2型糖尿病は米国成人の約8%が罹患(論文発表の2002年時点)。
- 合併症出現まで診断されない例もあり、予防が望ましい。
- 「治療」ではなく「予防」に関する研究は不十分。今回は糖尿病発症リスクが高い米国成人を対象とした大規模ランダム化試験にて、メトホルミン内服と生活習慣改善どちらで糖尿病発症を予防・遅延させるかを研究。
Methods
- 25歳以上、BMI24以上、空腹時血糖が糖尿病基準を満たしていない者を対象とした。
- 以下の3群に患者をランダムに割り付け。
①メトホルミン1日2回(850㎎x2)内服
②プラセボ1日2回
③生活習慣改善集中プログラム
※当初④グループ目としてトログリタゾン投与が含まれていたが、肝毒性の報告があり途中で中止。 - 主要転帰は糖尿病。半年ごとに糖尿病基準を満たすかチェックし、症状が出れば、その都度チェック。
Results
- 有意差が出たため予定より1年早く終了。
- 遵守率:生活習慣改善群は、50%が24週間のカリキュラム終了時までに7%の体重減量という目標を達成。運動目標を達成したのは24週で74%。摂取エネルギー量は生活習慣改善群で有意に減少。メトホルミン、プラセボ内服率は両者で近かったが、プラセボ群がわずかに高かった。
- 3年間の追跡でプラセボ群と比較し、メトホルミン群と生活習慣改善群の方が糖尿病累積発生率は低かった。粗発生率は100人年あたり
プラセボ11.0 vs メトホルミン7.8 vs ライフスタイル4.8 - プラセボ群と比較して糖尿病発生率は生活習慣改善群で58%(48-66%)低く、メトホルミン群で31%(17-43%)低かった。(カッコ内は95%信頼区間)
- この効果は人種による差はなし。全てのサブグループで効果的。
- 空腹時血糖は、最初の試験開始最初の年は生活習慣改善群とメトホルミン群で低下、プラセボ群では変わらず、その後は3群とも並行して上昇。
- 有害事象は、メトホルミン群で胃腸症状の発生率が最多、生活習慣改善群で筋骨格症状の発生率が最多。
Discussion