こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

How I treat CLL patients with ibrutinib

文献紹介。自分用の備忘録的な位置づけです。

 

BloodのHow I treat CLL patients with ibrutinibまとめです。

 

Introduction

  • IbrutinibはCLL患者のあらゆるフェーズで有効な薬剤の1つ。
  • RESONATE試験では、4年間のフォローアップで途中中断患者は12%ほど。
    多い有害事象はAf、出血、感染であった。
  • Real world dataでは42%が毒性のため中断したとのデータあり。
  • 広く使用されるようになり、当初想定されていたより有害事象や中断症例は多いのかもしれない。

治療前患者で評価すべき項目・頻度の多い有害事象

  • 年齢:80歳以上の患者は6ヵ月で60%以上が中断している。
    低いPSやhigher Cumulative Illness Rating Scale comorbidity scoreも予後悪化に関連。
  • 出血臨床試験では1-9%で大出血あり。術後のものもあるが自然発生のものもあり。
    BTKは血小板活性化作用があり、BTK阻害薬は血小板機能低下につながるため。CLL患者というだけで血小板凝集能は低下しており、BTK阻害薬投与でさらに低下する。
    ※既に抗凝固や高血小板剤を投与されている患者は要注意。このような患者は臨床試験から除外されている。
    ※周術期は3-7日休薬考慮。特に6既に-12カ月以上投与投与されていて病状安定している患者は短期間中止しても問題なし。
  • 心臓関連有害事象:Afが最多で10-15%ほどにあり。過去にAf歴ある患者は特に注意。心不全などの発症率が上昇する。高血圧も悪化するとの報告あり。
  • 併用注意薬:CYP3A4 阻害剤は併用注意。ジルチアゼム、ベラパミル、アミオダロン、フルコナゾール、ボリコナゾールなどと併用する場合は要減量。
  • 感染とその予防:肺炎が最も多い。臨床試験ではG3以上の肺炎が25%、G3以上の感染症が51%で報告されている。最初の6ヵ月が多く、6カ月以降は半分以下となる。T細胞機能低下と関連。アスペルギルスなど真菌感染も多い。BTK 阻害剤を受けている血液悪性腫瘍患者の日和見感染率は 8.1%。 VZV/PJP率も高く、この予防が考慮される。

その他

  • Ibrutinibを夜内服とすると消化管関連有害事象を防げるかもしれない。
  • 関節痛を訴えることがあるが、多くの場合、大きな介入をせずとも改善することが多い。重度の場合はステロイド考慮される。
  • 血球減少が起こることがある。開始1-2か月は末梢血リンパ球が増加し、その後ゆっくりと減少していく。症状が改善しているのであれば病状進行ではない。
  • 血小板は減少することがあるが多くの場合は問題とならない程度である。
  • 皮疹は2⁻27%に見られる。ステロイド外用薬で対処できることが多い。
  • 爪・毛髪の質の変化が起きることがある。