こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

歩いてきたSAHは診断が遅れるかも?

調べたこと、勉強したことのメモです。

 

"walk-in SAH"というものがありますが、これは海外でも使われているのでしょうか。PubMedで検索しても出てきませんが…。

 

SAH(くも膜下出血)の患者さんの中でも歩いてくる患者さんに関する文献の紹介です。

 

どちらも日本の雑誌です。日本の方が関心が高いのでしょうか。

 

  • 突然のこれまでに経験したことのないような激烈な頭痛で発症するのはSAHの80%程度。
  • 軽症の頭痛で受診するSAHは初療時にSAHを診断できない可能性がある。
  • 過去の報告によれば、初診時にSAHが見逃される割合は4.9-13%程度。
  • 曲沢らは独歩で外来を受診した軽症例では頭痛発症から受診までの期間が平均5日であったと報告している。
  • 最新機種のCTを用いても確実にSAHの診断ができるのは発症から 6 時間のみ。

脳卒中の外科 44: 283 〜 287,2016

 

  • “walk-in SAH”の医療機関への受診までの日数は平均2.2日(0-35 日)。
    →発症後すぐに受診しないことが緊急疾患を想起できないことにつながっている可能性がある。
  • 歩行受診 89 例中診断困難例が24例(26.9%)あり、そのうち23例が開業医および一般医家などの他の医療機関の初診。
  • 診断困難例の初発時診断:風邪 4 高血圧 2 頭痛 17 例

脳卒中の外科 42: 122 ~ 126,2014