セミナー要約です。
1.がん統計
・2014→2019にかけて大腸がんは増加傾向。
・男性では25%、女性では15%が生涯がんで亡くなる。
・大腸がんは40歳以上で増え始め、50歳以上で加速度的に増える。
・American cancer societyのCancer statisticsはインパクトファクター最大→これだけ注目度が高い。
【大腸がん】
●便潜血検査:簡便で死亡率減少が証明されている。
2回陽性で浸潤がんの確率は
40歳男性:10% 女性:19%
60歳男性:49% 女性:44%
山路裕也:日本消化器がん検診学会雑誌2017
面倒なのがデメリット。また大腸がんでも陽性にならないことも。
1回陰性 StageI:50% StageⅡ:30% StageⅢ/Ⅳ:22%
Morikawa T. et al.Gastroenterology 2005
●大腸内視鏡:最も確実で死亡率減少が証明されている。
早期ならば切除が可能。予防も治療も可能。
先行・出血などのデメリットあり。
アメリカでは無症状でも50歳以上では推奨されている。
●リスクファクター
運動不足、肥満、赤肉・加工肉摂取、アルコール、喫煙、DM、男性
2.遺伝性腫瘍
・大腸がんのうち、25%程度は何らかの遺伝的要素が関与している。
・大腸がんを来たす遺伝性疾患
FAP、MAP、リンチ症候群、リ・フラウメニ症候群、ポイツ・イエーガー症候群
・この中でリンチ症候群が最多。常染色体優性遺伝。
①家族性大腸腺腫症FAP
・がん抑制遺伝子であるAPC遺伝子、常染色体優性
・大腸ポリープ・胃底腺ポリープが特徴
・60歳までにほぼ100%大腸がん発症
→予防的大腸切除(20代のうちに推奨)
・その他もいろいろながんを発症
・10代以下など若年発症の、しかも複数の癌がある場合は家族性腫瘍を疑う!
②リンチ症候群
・FAPほどがん発症率は高くない。定期的に健診(尿細胞診など)を行う必要あり。
・どんな患者でこれを疑う?
→アムステルダム基準というものがあるが、非常に厳しい基準
・拾い上げとしては「リンチ症候群に対する修正Bethesda指針」が優秀
・がん発症の誘因となるマイクロサテライト不安定性を検出する検査もあり。
・ミスマッチ修復遺伝子異常があると免疫チェックポイント阻害薬の対象となる。
・リンチ症候群の診断手順
第1次スクリーニング:家族歴・既往歴
第2次スクリーニング:マイクロサテライト不安定性検査
確定診断(遺伝子検査)
3.プレシジョンメディシン・がんゲノム
・がん遺伝子変異を調べることでそれに合わせた治療を患者ごとにデザインする。
・分子標的薬
・現在は患者ごとに一部の遺伝子検査を行い、効果のある化学療法を行う。今後は網羅的遺伝子検索を行い、他のがんで使われている薬剤を使うなどより個人に合わせた治療を行うことが可能になるか。
・リキッドバイオプシー