こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

公衆衛生レクチャーで学んだこと⑩~交絡因子の調整について〜

公衆衛生に関するレクチャーを受けました。それで新たに学んだこと、よくわからなくて後で調べたことなどをメモ的に書いていきます。

 

交絡因子の調整について

交絡因子とは?…本来は関係ないのに結果に影響を与える因子。

 

よく例に出されるのは、飲酒と喫煙。統計を取ると飲酒量が多い人の方が肺がんいなりやすいと出るが、これは飲酒量が多い人に喫煙者が多いため、このような結果になる。このときの交絡因子は飲酒となる。

 

これを調整する方法は?

  • 研究デザイン段階での調整
    ランダム化、制限、マッチング
  • 統計解析段階での調整
    層別化、標準化、回帰

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  1. ランダム化
    既知の交絡因子も未知の交絡因子もどちらも調整できる一方で、手間・労力・資金がかかり、また介入研究でしかできない。また常に倫理的とは限らない。
  2. 制限
    交絡因子となりそうな集団を研究に含めないという方法。上記の例で言えば、飲酒者は研究に含めないなど。シンプルで簡単な方法で交絡因子の影響を完全に排除できるが、検出力が減ったり、外的妥当性が減ったりしてしまう。また交絡因子が多いときにはできない。
  3. マッチング
    同じ特徴を持つ人同士をペアにして比較する方法。疑似ランダム化などとも言われる。最近流行っている。Puropencity score matchingなど。たくさんの交絡因子を同時に扱える。しかし交絡因子が増えれば増えるほどマッチングも難しくなる。またマッチングの指標となる項目は、病期の危険因子としては考えられなくなる。
  4. 層別化
    収集したデータをグループごとに分けて解析する方法。サブグループ解析などともいわれる。例えば年齢や性別、喫煙の有無、飲酒の有無などによって患者をグループ分けし、比較する方法。交絡因子がたくさんあるときは使えない。
  5. 標準化
    例えば「年齢調整死亡率」などのように、1つの基準に合わせて結果を調整すること。例えば都道府県別の死亡率を見ると、高齢者の多い地域では死亡率が高く見えてしまう。これを調整するために、ある地域の死亡率を、年齢構成を基準集団と同じになるようにして求め直すなどの方法。
  6. 多変量解析(回帰モデルによる調整)
    調べたい要因以外の因子も共変量として統計学的に処理する。いくつもの交絡因子を同時に処理する。