肺がんの治療に関するセミナーを聞いたので、その要約です。
【治療法選択】
・根治が望めるのはⅢ期まで(Ⅲ期で20%ほど)。
・手術はⅠ-Ⅲ期まで行う。
・根治目的の放射線治療はⅢ期に。
・薬物治療はⅡ期以降+再発例に行う。
【肺癌薬物治療】
①細胞障害性抗がん剤
プラチナ製剤が基本となる。耐性を獲得してしまうことも。それと併用される薬剤として、ペメトレキセド、パクリタキセル、ドセタキセルなどあり。
②分子標的薬(主にTKIs)
主なものとしてはEGFRチロシンキナーゼ小分子阻害薬。現在使用されているのはゲフィチニブ。EGFR mutationがある患者に関しては劇的な効果。EGFR mutationがないとほぼ全く効かず。小分子化合物も耐性獲得が問題となる。別の変異が入ってしまうなどして、最終的にはほぼ全員効かなくなってしまう。→ここで出てくるのがオシメリチニブ。最近では一時治療として使う戦略もあり。
またALK TKI アレクチニブはPD率0%!
近年出てきたMET, RETなども間もなく承認されるか。
★分子標的薬の副作用
薬剤性肺障害が特に問題となる。間質性肺炎がある患者では分子標的薬使いづらい。
③免疫チェックポイント阻害薬
この利点は"long tail"1年生存率はさほどよくはないが、効く人には長く効く。3年間生存できれば、ほぼ5年目まで生存率が変わらない。
これを解消するために、抗がん剤と併用する方法もあり。
非小細胞肺癌では、遺伝子変異あれば分子標的薬、なければ免疫チェックポイント阻害薬±抗癌剤。
★分子標的薬vs免疫チェックポイント阻害薬
分子標的薬はほとんどの人に聞くが最終的には100%に近いくらい耐性となってしまう。
対して免疫チェックポイント阻害薬は、効かない人は全く効かないが、効く人は長期によく効く。
★免疫チェックポイント阻害薬の副作用
免疫・内分泌系の副作用が出ることがある。
※支持療法:緩和治療
2010年NEJM 診断時点から緩和ケアチームが入る場合の方が、主治医または患者が希望した場合に緩和ケアチームが入るより予後が延長し、QOLも改善。
別の文献でも診断後1か月以上1年以内に緩和ケアを開始した患者で予後が改善が示されている。
【がんゲノム医療】
・目的:ドライバー遺伝子検索、TKI効果予測、免疫チェックポイント阻害薬効果予測、遺伝性腫瘍の可能性