こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【セミナー要約】肺がんの治療

肺がんの治療に関するセミナーを聞いたので、その要約です。

 

【治療法選択】
・根治が望めるのはⅢ期まで(Ⅲ期で20%ほど)。
・手術はⅠ-Ⅲ期まで行う。
・根治目的の放射線治療はⅢ期に。
・薬物治療はⅡ期以降+再発例に行う。

 

【肺癌薬物治療】
①細胞障害性抗がん剤
プラチナ製剤が基本となる。耐性を獲得してしまうことも。それと併用される薬剤として、ペメトレキセド、パクリタキセルドセタキセルなどあり。

②分子標的薬(主にTKIs)
主なものとしてはEGFRチロシンキナーゼ小分子阻害薬。現在使用されているのはゲフィチニブ。EGFR mutationがある患者に関しては劇的な効果。EGFR mutationがないとほぼ全く効かず。小分子化合物も耐性獲得が問題となる。別の変異が入ってしまうなどして、最終的にはほぼ全員効かなくなってしまう。→ここで出てくるのがオシメリチニブ。最近では一時治療として使う戦略もあり。
またALK TKI アレクチニブはPD率0%!
近年出てきたMET, RETなども間もなく承認されるか。
★分子標的薬の副作用
薬剤性肺障害が特に問題となる。間質性肺炎がある患者では分子標的薬使いづらい。

③免疫チェックポイント阻害薬
この利点は"long tail"1年生存率はさほどよくはないが、効く人には長く効く。3年間生存できれば、ほぼ5年目まで生存率が変わらない。
これを解消するために、抗がん剤と併用する方法もあり。
非小細胞肺癌では、遺伝子変異あれば分子標的薬、なければ免疫チェックポイント阻害薬±抗癌剤
★分子標的薬vs免疫チェックポイント阻害薬
分子標的薬はほとんどの人に聞くが最終的には100%に近いくらい耐性となってしまう。
対して免疫チェックポイント阻害薬は、効かない人は全く効かないが、効く人は長期によく効く。
★免疫チェックポイント阻害薬の副作用
免疫・内分泌系の副作用が出ることがある。

※支持療法:緩和治療
2010年NEJM 診断時点から緩和ケアチームが入る場合の方が、主治医または患者が希望した場合に緩和ケアチームが入るより予後が延長し、QOLも改善。
別の文献でも診断後1か月以上1年以内に緩和ケアを開始した患者で予後が改善が示されている。

 

【がんゲノム医療】
・目的:ドライバー遺伝子検索、TKI効果予測、免疫チェックポイント阻害薬効果予測、遺伝性腫瘍の可能性