こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

BrdUと細胞周期・細胞増殖

自分用の備忘録のようなものです。間違いがある場合もあるかもしれません。

 

BrdU=bromodeoxyuridine(ブロモデオキシウリジン)

チミジン・アナログであり、細胞周期S期において新たに合成されるDNAに取り込まれ、分裂細胞とその娘細胞を標識することができる。

 

BrdUを用いた細胞増殖の観察

増殖中の細胞が、G1,S,G2期のどの時期にどのように分布しているかを調べたいときにBrdUが利用できる。

※光学顕微鏡を用いてもG1期とS期は区別することができない(形態的には特に差がないため)。

例えば目的の細胞をBrdUを含んだ培養液で1時間培養する。このとき、S期BrdUが取り込まれるが、この取り込まれたBudUは、分裂したとき(G2/M期)に半分の蛍光となる。

参考画像「細胞周期」

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出典:https://tiisys.com/blog/2020/06/10/post-69916/

 

G1:DNA量1倍体+BrdU取り込みなし

S:DNA量1倍体(~2倍体)+BrdU取り込みあり

G2/M:DNA量2倍体+BrdUはS期の半分

 

つまりBrdU取り込み量とDNA量をフローサイトメトリーを用いて測定できれば、G1,S,G2/M期を区別できる。DNA標識は、Propidium Iodide(PI)や7AADなどを用いて可能。

 

参考画像

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出典:エタノール固定細胞の細胞周期におけるタンパク発現差解析の検討http://www.med.u-fukui.ac.jp/CRL/REPORT/2014yamamoto.pdf

 

BrdUを用いた細胞周期の観察

ある細胞の分裂周期がどのくらいかを調べたいとき、その細胞をBrdUとともに培養し、全ての細胞がBrdUを取り込んだ細胞となるようにする(マウス成体内の細胞を標識したいときはマウスにBrdU入りの水を飲ませるなどする)。ここでBrdUの取り込みをやめ(BudUとともに培養するのをやめる、BrdU入りの飲水をやめるなど)、定期的に細胞を観察し、蛍光量が半分となるポイントを見つける。例えば、3日間で蛍光量が半分になったことを確認できれば、細胞周期は約3日であろうと推測できる。

 

参考文献:

http://pdbu-support.bio-rad.co.jp/fcguide/0703.html

https://www.bdj.co.jp/pdf/64-035-01.pdf

http://www.med.u-fukui.ac.jp/CRL/REPORT/2014yamamoto.pdf

細胞増殖と細胞周期(Proliferation and cell cycle)

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