~低ナトリウム血症のまとめ(備忘録)~
低Na血症は電解質異常の中で最も頻度が高く、女性・高齢者・入院患者に特に多いとされている(入院患者の15~30%に起こるとされている)。心臓・腎臓・肝臓の異常で起きやすく、細胞外のNaが減少することで細胞外へ水分が移動し、脳細胞に浮腫が起こることによって嘔気や嘔吐などの症状を来す。
低Na血症の治療は症候性か無症候性か、急性か慢性か、低Na血症は進行しているか否かなどに注目して治療法を選択する。意識障害などあるときは早急な治療が必要であり、急性進行の場合も同様に早急な補正が必要である。低Na血症の病態評価にはまず低張性か等張性か高張性かどうかで評価し、低張性の場合に細胞外液量が減少しているか、同量か、増加しているかのいずれかで評価する。それぞれ代表する病態としては下記の通りである。
細胞外液量増加:嘔吐、下痢、利尿薬、Addson病
細胞外液量同量:SIADH、MRHE、甲状腺機能低下症、下垂体・副腎機能低下症
細胞外液量減少:腎不全、心不全、肝硬変
輸液としては3%NaCl、生理食塩水、1号液、3号液など選択肢があり、どの程度補正を急ぐかにより使い分ける。経口摂取可のときは食塩を食事に添加しても良い。どの程度輸液をしてどの程度Naが上昇するかは下記の計算式が存在するが尿中に排泄されるNaなどを考慮しておらず、必ずしも計算式通りにはならない。
Δ[Na]serum={([Na]infusate+[Na]infusate)- [Na]serum }/(TBW+1)
Na補正は12mEq/日までの補正が推奨されており、それ以上の補正では橋中心髄鞘崩壊症候群になりうる。症状としては弛緩性麻痺、構音障害、嚥下障害などが見られ、診断はCT/MRIにて行う。