本日は、蛍光蛋白の選び方についてです。
様々なサイトで蛍光のしくみについて詳しい解説がなされていたり、蛍光試薬の選び方だけで1冊の本が出ていたりなど、奥深い分野ではありますが、ここではできるだけシンプルに説明します。
(そんなに詳細な解説もできないので…)
選ぶポイントとして重要なのは、「明るさ」と「安定性」の2点だと個人的には考えています。あとは手に入りやい、研究室にあるなども地味に大事なことです。
またいくつかの蛍光蛋白を使用する場合は、波長ができるだけ重ならないように(離れた波長)選ぶ必要があります。
以下のサイトでは、各色ごとに最良の蛍光蛋白質を提示しています。
これによると、
緑:EGFP
赤:mCherry
黄:Venus
を挙げています。いずれも古く利用されており、数々の文献で取り上げられ実績が十分にあることがその理由です。
また、蛍光蛋白を選ぶ上で参考になりそうなツールとしてFP baseというものがあるので紹介します。
このサイトは蛍光蛋白質のデータベースになっており、目的の蛍光蛋白の特徴、例えば波長などを検索することができます。
1つ1つの蛍光蛋白についても調べることができますが、トップページ右上にある"explore"をクリックし、次に"interactive chrt"をクリックすると、蛍光蛋白の特徴をチャートで見ることができます。
↑このような感じですね。
X軸とY軸を何のパラメーターにするかは好きなように変更することができるので、前述のように「明るさ」と「安定性」をX軸とY軸に設定してみます。
これだけだとまだ分かりにくいので、例えば緑の蛍光蛋白をどれにするか選びたいとします。
右の部分で波長を限定することができるので、ここでは緑色蛍光になるように"Emission Wavelength"を変えてみます。
どの色がどのくらいの波長か覚えていなくとも、ドットの色を参考に視覚的に操作できるようになっています。
また"Excitation Wavelength=励起波長"と"Emission Wavelength=蛍光波長"も厳密には異なりますが、上記のような操作の場合はあまり区別する必要はありません。
上図では、"Emission Wavelength"をだいたい503-589くらいにして緑-青色くらいの蛍光蛋白のみ表示されるようにしてみました。
よく使用されるEGFPが真ん中のやや左下ぐらいに位置しており、明るさや安定性もいいところにあるのが分かります。
図では小さくて分かりにくいですが、右端から2番目にあるのが同じく使用頻度の高いmNeonGreenです。EGFPと同じくらいの安定性でありながらかなり明るいのが分かります。
波長を覚えていなくともドットの色を見ればよいと書きましたが、実際の発色と少し異なる場合もあるので注意が必要です。
例えば下図の赤矢印で示したものは赤色蛍光のmScarletなんですが、ドットは黄色に近いです。
この点は注意が必要です。
今回は以上です。