こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【専門医レポート】精巣原発DLBCL

総合内科専門医レポートを書くに当たり、勉強した内容や調べた内容などのメモです。備忘録的な感じです。

 

★精巣原発DLBCL

 

・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の中でも精巣原発の症例はハイリスクであり、精巣の切除や中枢神経予防などが推奨されている。(1)

・造血器腫瘍ガイドライン(2018年版)によれば、精巣原発DLBCLの場合52%が再発し、15%で中枢神経再発が見られるとされている。(1)

・このため、予防的髄注やメトトレキサート大量療法などが推奨されている。しかし確立された予防法はなく、同ガイドラインでもリツキシマブ併用化学療法では相対的に中枢神経実質再発が多くなるため、髄注よりメトトレキサート大量療法が有用である可能性があるものの髄注をメトトレキサート大量療法で置き換えられるかどうかに関して定まった見解はないとしている。(1)

・浸潤がある精巣に関しては摘除(orchiectomy)が推奨されている。(2,3)

・またこれのみでは再発予防のためには不十分とされており、対側精巣に3年で15%、15年で42%再発するとされており、対側精巣には放射線照射が推奨されている。2これにより対側精巣への再発率は8-35%減少するとされている。(2)


1. 造血器腫瘍ガイドライン(2018年版)
2. De Zhou1 et al. Oncotarget. 2017; Vol. 8: 112384-112389.
3. Robert Kridel et al. British Journal of Haematology. 2017; 176:210–221.