こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【専門医レポート】若年性脳卒中

総合内科専門医レポートを書くに当たり、勉強した内容や調べた内容などのメモです。備忘録的な感じです。

 

★若年性脳卒中

 

・「若年」脳卒中の定義、つまり何歳以下を「若年」と呼ぶかに関しては恣意的な部分もあるが、45歳または49歳未満とすることが多い。(1,2)

・若年発症脳卒中の割合は国や地域によって若干異なるものの、おおむね5-20%の間であり(1-3) 、Ruíz-Sandovalらによれば35歳未満の脳出血は0.3人/10万人としている。

・頻度は少ないもののその後の生存期間が長いことから患者に与える影響は少なくなく、その意味で重要である。リスクファクターは高齢発症脳卒中と同様であるが、その有病率は若干異なっており、高齢者で高血圧、糖尿病、心疾患が多いのに対して、若年者では脂質異常症、喫煙、高血圧などが上位に入る。(1-3)

・出血の原因として多いのは、やはり血管奇形であり、動静脈奇形が33%、海綿状血管腫が16%、高血圧性が11%と報告されている。(3)

・若年脳出血患者で高血圧を有する患者のうち45%は脳卒中発症時に初めて高血圧と診断されており、さらに、高血圧の診断を事前に受けていた患者でも多くは定期的な治療がなされていなかったと報告されている。(3)

→若年であっても高血圧の検索・管理を積極的に行うことの重要性を示唆していると考えられる。

・全脳卒中患者の3-4%が2回目の脳卒中を経験するとされており、さらに若年成人における累積5年再発率は9.4%に及ぶとされている。(3)

・先にも述べたとおり患者の残りの生存期間の長さを考えると若年発症脳卒中の2次予防は非常に重要である。

 

1. Dževdet Smajlović . Vasc Health Risk Manag. 2015; 11: 157–164.
2. 藤岡祐介ら. 2009; 脳卒中:31:15-22.
3. Ruíz-Sandoval JL, et al. Stroke. 1999;30(3):537–541.