こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【専門医レポート】血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)

総合内科専門医レポートを書くに当たり、勉強した内容や調べた内容などのメモです。備忘録的な感じです。

 

★血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)

 

・AITLは非ホジキンリンパ腫の約1.2%を占める稀な疾患である。(1,2)

・高齢の男性に多く(日本での診断時年齢中央値67歳(範囲37-91歳))、また診断時には90%以上がStageⅢ以上と進行している例が多いとされ、アグレッシブで予後不良なリンパ腫の1つである。(3)
・AITLの約50%に皮疹が見られるとされ、AITLの重要な症候の1つである。(2)

・直接的に腫瘍細胞が皮膚に浸潤して起こる皮疹もあるが、腫瘍により2次性の血管炎を起こしたことによって皮疹が起こる場合もあり、後者の場合は、皮膚生検でも腫瘍細胞は検出されない。(皮膚生検にてリンパ腫と証明されなくとも本疾患を否定することにはならない。)(2,4)
・またAITLは自己免疫性溶血性貧血など免疫学的・血液学的疾患の合併が多く報告されている。(4,5)


1. Lunning MA, et al. Blood. 2017 Mar 2;129(9):1095-1102.
2. Botros N, et al. Am J Dermatopathol. 2015 Apr;37(4):274-83.
3. The Non-Hodgikin’s Lymphoma Classification Project Blood 1997; 89: 3909-18.
4. Martel P, et al. Arch Dermatol. 2000 Jul;136(7):881-886.
5. Tao J, et al. World J Clin Oncol. 2013 Aug 10;4(3):75-80.