こりんの基礎医学研究日記

都内の医大を2014年に卒業。現在は大学院で基礎研究中。日々の研究の中で疑問に思ったことや勉強したことなどを主に自分のための備忘録として書いていきいます。ときどき臨床の話や趣味の話も。必ずしも学術論文等が元となっていない内容もありますので、情報の二次利用の際はご注意ください。

【専門医レポートメモ】2型糖尿病教育入院のエビデンス & 1st lineとしてインスリン療法

総合内科専門医レポートを書くに当たり、勉強した内容や調べた内容などのメモです。備忘録的な感じです。

 

2型糖尿病教育入院のエビデンス & 1st lineとしてインスリン療法

 

厚労省の国民健康・栄養調査によると、国内の糖尿病患者は予備軍を合わせて2000万人に及び(1)、心血管疾患や感染症など様々な疾患のリスク因子となることから、その適切な管理は内科医にとって非常に重要である。
・糖尿病教育入院は、血糖改善効果や再入院率低下効果があることが報告されている。(2)

・本邦からも、特にナイーブ症例(糖尿病初診例)で効果的であり、さらに教育入院実施後5年間など長期にわたり、血糖改善効果が望まれるといった報告がなされている。(3)


インスリン強化療法は、経口血糖降下薬による加療と同等の安全性と有効性から、2型糖尿病患者への1st line治療として積極的に考慮すべきとする文献もある。(4)

・一方で低血糖などの有害事象の懸念から1st lineとすべきではないとの文献もある。(5)

・別の文献ではシタグリプチン・基礎インスリン併用療法のインスリン強化療法に対する非劣性が報告されるなど、強化インスリン療法を用いずとも良好に血糖をコントロールし、心筋梗塞や腎不全といった合併症を予防できる可能性が示唆されている。(6)

 

…既述の通り、2型糖尿病は現代の日本において非常において非常に重要な疾患であり、常に最新のエビデンスに基づいた、各患者にとって最適な治療を選択すべきであると考える。

1. 厚生労働省「国民健康・栄養調査(平成30年)」
2. Healy SJ, et al. 2013; Diabetes Care 36: 2960-2967.
3. 宮内雅晃ら. 糖尿病. 2015; 58(4):257-264.
4. Neale Cohen. Nat Rev Endocrinol. 2010 Jan;6(1):9-10.
5. Nathan, D. M. et al. Diabetes Care. 2009;32:192–203.
6. Pasquel FJ et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016 Dec