Translational and Clinical Research
Critical Role of Jak2 in the Maintenance and Function of Adult Hematopoietic Stem Cells
Result
①Jak2を欠損させると成体マウスで致命的な骨髄不全が起こる
・pI;pC投与によってJak2欠損するようなマウスを作製。→WBでJak2欠損していることを確認。
・pI;pC注射後25-44日間(平均36日)でマウス死亡。→pI;pC投与後4週間=28日後に解析を行った。
・Jak2欠損マウスでは、
WBC,
RBC, Ht, Pltの数がいずれも有意に少なかった。
・Jak2欠損マウスの骨髄を観察すると重度の骨髄形成不全あり。
・Jak2欠損マウスでは、HSCが多く含まれているLSK分画、
前駆細胞などの著明な減少が見られた。LT-HSCの著明な減少も見られた。
・CFU=コロニー形成ユニットについても確認。→CFU-E、BFU-E、CFU-
GM、CFU-GEMMおよびCFU-Mkコロニーの数の著減あり。
・非誘導MxCre; Jak2fl / flマウスの骨髄をワイルドタイプマウスに移植し、移植後4週間ン後にpI:pCを注射すると…ドナー由来HSC割合は?→コン
トロールと比較し有意に減少。初代Jak2欠損動物と同レベル。=Jak2欠損マウスにおけるHSC減少が自律的(環境依存的ではない)ということ!!
②Jak2欠損は成人HSCの長期的な生着と自己複製能力を損なう
・Jak2欠損マウスのHSCの機能はどうなる?(生着能や自己複製能はどうなる?)→ControlとJak2欠損マウス骨髄を致死量
放射線照射後に移植(コンピテントセルなし)
●Control…効率的に生着(1 × 105)
●Jak2…20倍の数の細胞数を移植しても生着できず(2 × 106) 18n日以内に全て死亡。
・次にコンピテントセルを用いた移植により、造血能再構築時のHSC機能を分析。
・pI由来のBM細胞; pC誘導コン
トロールまたはJak2欠損マウス(CD45.2 +)をCD45.1 +競合BM細胞と1:1または10:1の比率で混合→致死量
放射線照射後マウスへ。→コンピテントセルの10倍の細胞数移植してもJak2欠損マウスの骨髄移植では完全には競合できず。
・非誘導MxCre; Jak2fl / flマウスの骨髄を移植→コン
トロールと同等の生着率であることを確認したのちにpI; pCを注射しJak2を欠損させる。→
Gr1陽性細胞やB220陽性細胞が注射後に少しずつ減少。→Jak2欠損はHSCの機能障害につながっている。
③Jak2はLSK細胞の静止期と生存維持に必要
・ほとんどのHSCは、HSCプールを守るために静止期(G0期)にいる。
・BrdUを用い、Jak2の細胞周期に与える影響を調査。→Jak2欠損LSKへのBrdU取り込み有意に遅い。コン
トロールと比較し、S期が多くG0,G1期の割合が少ない。→Jak2欠損はHSC静止期の喪失をもたらし、HSCの消耗につながる。
・アネキシンV染色…Jak2欠損LSKで有意な
アポトーシス増加(~9倍)あり。
④Jak2欠損LSK細胞においては活性酸素とp38 MAPK活性化が増加する
・
活性酸素喪失は静止期HScの喪失を促進する。またp38 MAPK活性化によってHSCの寿命を制限する。
・Jak2欠損LSK細胞では、
活性酸素の増加、p38 MAPKリン酸化の有意な上昇(約3倍)が見られた。
・ ROS scavenger N‐acetyl l‐cysteine (NAC)によって
活性酸素を減らすとHSC機能は改善する?→改善する!・Jak2欠損によって
活性酸素増える→HSC機能障害につながっている!
⑤Jak2欠損LSK細胞におけるTPOとSCFシグナル伝達
・TPOとSCFはin vivoでのHSC維持に重要とされている。
・TPO&SCFシグナル伝達にJak2欠損は何らかの影響を及ぼすか?
・TPOにより誘発されるStat5、Erk、Akt活性化は、Jak2欠損LSKで著しく減少した。
⑥Jak2欠損はHSC維持に関与する複数の経路を損なう
・LSK細胞の遺伝子発現プロファイリングを実施
→HSC特異的遺伝子の有意なダウンレギュレーションあり。
・Jak2の非存在下でダウンレギュレートされた遺伝子と、Jak / Statシグナル伝達経路を特定する遺伝子セット、およびTPO、MAPK、PI3キナーゼ、mTOR経路を含む他のさまざまなシグナル伝達経路との強い相関あり。・HSC静止期維持や自己複製能維持に必要な遺伝子がダウンレギュレートされていた。
今回は以上です。次回はDiscussionです。